4.驚くべき「再生力」 [健康]
私たちの体は、損傷すると、損傷したところを自ら修復させようとします。
いわゆる、再生力といわれるものです。この損傷した組織の修復は、どのよう
にして行われるのでしょうか。
(1)再生力と幹細胞
トカゲはシッポを切られても、切り口から再びシッポを生やすことができま
す。イモリは足を切られたとしても、足を丸ごと再生することができます。し
かし、人間は簡単に再生することはできません。それは、人間の体の機能が高
度に複雑化し、高い知能とはん用性の高い運動能力を獲得する方向に進化を遂げ
たからです。その結果、万が一に備える自然治癒力はあるものの、臓器の再生
を一からやり直して、元の状態に戻す機能は衰えてしまいました。
一般的に生命体は、高度に進化してくことで、再生力がどんどん低くなっ
ていくといわれていますが、完全に再生力がないわけではありません。けがを
しても、しばらくすると傷が治っているのは人間に再生力があるからなのです。
この再生力は、生理的再生と病理的再生の2つに区別されます。生理的再生は、
皮膚や毛、爪など全身の多くの細胞が一定の割合で生まれ変わるものをいい、
病理的再生は、けがや病気で失われた組織の修復を行なうものを云います。
再生力とは、細胞の集合体としての完成度をどれだけ維持し、再生できるか
の能力を指します。すべての生き物の体は細胞でできており、心臓や脳、皮膚
などすべてが細胞の集合体です。そして、それぞれの細胞は役割をもって働い
ており、その中に「細胞を生む」ことが担当の細胞があります。これを「幹細
胞」といいます。
幹細胞は、傷ついたり古くなってしまった細胞を入れ替えるため、新しい細
胞をつくったり、けがや病気で失われた細胞を新しく再生する働きをしていま
す。臓器が損傷し、修復が必要となった場合、損傷部位の近くにある幹細胞が、
自分を複製して幹細胞の枯渇を防ぎつつ、どの臓器のどの細胞がどの程度損傷
下のかを確認して新たな細胞に変身します。そしてこの幹細胞は、どのよう
な臓器に変身できるのかなどの脳力の多様性によって分類が分かれています。
<組織幹細胞による再生力>
私たちの体の中に存在する幹細胞を組織的幹細胞といいます。造血系の組織や
皮膚をはじめとする上皮系の組織は、細胞が日々生まれ変わっているので、組
織の維持やけがなどの不測の事態に備えた再生力と呼び能力をもっています。
例えば、骨髄には造血幹細胞があり、赤血球や白血球などの血液細胞をつく
っています。血液を多少採取されても、元のレベルに戻るのは、造血幹細胞の
働きによるものです。内臓では、特に高い再生力をもっている肝臓は、外科的
に3分の2程度まで切除しても元の大きさに戻ります。胃や腸は、3分の1程
度切除すると元の大きさまで戻ることはありませんが、胃や腸の粘膜だけをみ
れば、非常に高い再生力をもっています。つまり、それぞれの臓器に再生力の
高い細胞は存在していますが、それぞれの組織の再生力は異なっているといえ
ます。
(2)生理的再生
皮膚や毛、爪など、細胞の生まれ変わりが一定の割合で行われるものを生理
的再生といいます。ここでは代表的な「毛」についてみていきましょう。
<毛の再生>
私たちの体に生えている毛の再生にも幹細胞が関与していることが知られて
います。
私たちの毛は、毛を産生する毛包を主体に、表皮から上の部分を「毛幹」、表
皮より下の部分を「毛根」と呼びます。毛根部の一番下のふくらんだ部分は「
毛球」といい、この先端部に毛乳頭・毛母細胞があります。
毛乳頭は、周囲に網の目のように張り巡らされている毛細血管を通じて、髪
の毛を発生させるために必要な栄養素や酸素を受け取ります。その栄養素が毛
母細胞にきわたることで細胞分裂し、どんどん毛を成長させていきます。つ
まり、毛乳頭の毛母部分が毛の発生や成長を司っているため、毛母細胞がある
限り、いくら抜いても毛は次々と再生しています。この毛母細胞を生み出して
いるのが毛包幹細胞です。
●発毛司令塔「バルジ領域」
毛根部には、発毛の司令塔といわれることもある「バルジ領域」という部分
があります。そもそもバルジ領域が発見されたのは2000~2001年と最近のこ
とです。バルジ領域には「色素幹細胞」と「毛包幹細胞」という2つの幹細胞
が存在し、毛の生成において重要な細胞をつくり出す働きをしています。毛包
幹細胞のそれぞれが細胞分裂をすることで、毛母に細胞の元を供給します。
毛包幹細胞は、“元になる細胞”と呼ばれており、毛をつくる構造の大部分を
つくり出すといわれています。毛根を包む筒状のものである毛包の下部には毛
母細胞や毛乳頭があり、新しい毛が育つ場所であると考えられています。
色素幹細胞とは、字のごとく色をつくる細胞であり、毛の色を供給する色素
機能があります。そして、色素幹細胞と毛包幹細胞が同時に活性化することに
より色のついた髪が繰り返し再生するといわれています。バルジ領域において
毛包幹細胞と色素幹細胞がしっかり働くことで発毛が促されるのです。
●毛の再生・サイクルのスピード
毛には「毛周期」と呼ばれる生えかわりのサイクルがあります。毛母細胞が
分裂をはじめると、皮膚の下の方で新しい毛が再生され、毛細血管から栄養素
を取り込みながら太く伸び、表皮の上へ出てきます。この時期が成長期です。
その後、毛母細胞の分裂が止まって毛が抜ける準備をする退行期に入ると、毛
乳頭と毛の結合が緩み、毛が上へ押し上げられます。さらに、休止期に入ると、
毛と毛乳頭が完全に離れて自然に抜け落ちます。
このように、毛は成長期・退行期・休止期を一定の周期で繰り返し、再生し
ていきます。また、毛包幹細胞が成長期・退行期・休止期において、細胞分裂
を繰り返すことで毛を再生しており、細胞分裂の活性が低下すると毛の再生・
サイクルのスピードが遅くなるなど、毛周期の異常が起こります。
コラム・白髪と抜け毛の抑制「17型コラーゲン」
現在、幹細胞医学分野では、白髪や発毛の研究が進められています。中でも、
「17型コラーゲン」は、白髪と抜け毛を抑制することが可能であるといわれて
います。また、コラーゲンといっても、実は29種類も存在し、それぞれが違う
役割を担っており、その中で髪と大きく関係があるといわれているのが17型コ
ラーゲンです。これは、バルジ領域にある毛包幹細胞に存在し、毛包幹細胞と
隣り合う色素幹細胞の維持を助ける働きもしていると考えられ、髪の毛の成長
のサポートや抜け毛を防ぐのと同時に、髪の色を黒く保つという大切な役割を
担っています。17型コラーゲンは、年齢とともに減少してしまいます。17型コ
ラーゲンが不足することによって、毛包幹細胞と色素幹細胞との間の相互作用
による幹細胞維持機構が破綻し、白髪や脱毛が起こります。
17型コラーゲンは、豚や鶏の軟骨などに含まれているタンパク質ですが、こ
れらを摂取しても体内で17型コラーゲンは増えないといわれています。また、
現在の段階では、17型コラーゲンを人工的につくることは難しいとされている
ため、17型コラーゲンを増やすというよりも、「減らさないようにするための治
療薬」の研究が進められていることに多くの期待が寄せられています。
いわゆる、再生力といわれるものです。この損傷した組織の修復は、どのよう
にして行われるのでしょうか。
(1)再生力と幹細胞
トカゲはシッポを切られても、切り口から再びシッポを生やすことができま
す。イモリは足を切られたとしても、足を丸ごと再生することができます。し
かし、人間は簡単に再生することはできません。それは、人間の体の機能が高
度に複雑化し、高い知能とはん用性の高い運動能力を獲得する方向に進化を遂げ
たからです。その結果、万が一に備える自然治癒力はあるものの、臓器の再生
を一からやり直して、元の状態に戻す機能は衰えてしまいました。
一般的に生命体は、高度に進化してくことで、再生力がどんどん低くなっ
ていくといわれていますが、完全に再生力がないわけではありません。けがを
しても、しばらくすると傷が治っているのは人間に再生力があるからなのです。
この再生力は、生理的再生と病理的再生の2つに区別されます。生理的再生は、
皮膚や毛、爪など全身の多くの細胞が一定の割合で生まれ変わるものをいい、
病理的再生は、けがや病気で失われた組織の修復を行なうものを云います。
再生力とは、細胞の集合体としての完成度をどれだけ維持し、再生できるか
の能力を指します。すべての生き物の体は細胞でできており、心臓や脳、皮膚
などすべてが細胞の集合体です。そして、それぞれの細胞は役割をもって働い
ており、その中に「細胞を生む」ことが担当の細胞があります。これを「幹細
胞」といいます。
幹細胞は、傷ついたり古くなってしまった細胞を入れ替えるため、新しい細
胞をつくったり、けがや病気で失われた細胞を新しく再生する働きをしていま
す。臓器が損傷し、修復が必要となった場合、損傷部位の近くにある幹細胞が、
自分を複製して幹細胞の枯渇を防ぎつつ、どの臓器のどの細胞がどの程度損傷
下のかを確認して新たな細胞に変身します。そしてこの幹細胞は、どのよう
な臓器に変身できるのかなどの脳力の多様性によって分類が分かれています。
<組織幹細胞による再生力>
私たちの体の中に存在する幹細胞を組織的幹細胞といいます。造血系の組織や
皮膚をはじめとする上皮系の組織は、細胞が日々生まれ変わっているので、組
織の維持やけがなどの不測の事態に備えた再生力と呼び能力をもっています。
例えば、骨髄には造血幹細胞があり、赤血球や白血球などの血液細胞をつく
っています。血液を多少採取されても、元のレベルに戻るのは、造血幹細胞の
働きによるものです。内臓では、特に高い再生力をもっている肝臓は、外科的
に3分の2程度まで切除しても元の大きさに戻ります。胃や腸は、3分の1程
度切除すると元の大きさまで戻ることはありませんが、胃や腸の粘膜だけをみ
れば、非常に高い再生力をもっています。つまり、それぞれの臓器に再生力の
高い細胞は存在していますが、それぞれの組織の再生力は異なっているといえ
ます。
(2)生理的再生
皮膚や毛、爪など、細胞の生まれ変わりが一定の割合で行われるものを生理
的再生といいます。ここでは代表的な「毛」についてみていきましょう。
<毛の再生>
私たちの体に生えている毛の再生にも幹細胞が関与していることが知られて
います。
私たちの毛は、毛を産生する毛包を主体に、表皮から上の部分を「毛幹」、表
皮より下の部分を「毛根」と呼びます。毛根部の一番下のふくらんだ部分は「
毛球」といい、この先端部に毛乳頭・毛母細胞があります。
毛乳頭は、周囲に網の目のように張り巡らされている毛細血管を通じて、髪
の毛を発生させるために必要な栄養素や酸素を受け取ります。その栄養素が毛
母細胞にきわたることで細胞分裂し、どんどん毛を成長させていきます。つ
まり、毛乳頭の毛母部分が毛の発生や成長を司っているため、毛母細胞がある
限り、いくら抜いても毛は次々と再生しています。この毛母細胞を生み出して
いるのが毛包幹細胞です。
●発毛司令塔「バルジ領域」
毛根部には、発毛の司令塔といわれることもある「バルジ領域」という部分
があります。そもそもバルジ領域が発見されたのは2000~2001年と最近のこ
とです。バルジ領域には「色素幹細胞」と「毛包幹細胞」という2つの幹細胞
が存在し、毛の生成において重要な細胞をつくり出す働きをしています。毛包
幹細胞のそれぞれが細胞分裂をすることで、毛母に細胞の元を供給します。
毛包幹細胞は、“元になる細胞”と呼ばれており、毛をつくる構造の大部分を
つくり出すといわれています。毛根を包む筒状のものである毛包の下部には毛
母細胞や毛乳頭があり、新しい毛が育つ場所であると考えられています。
色素幹細胞とは、字のごとく色をつくる細胞であり、毛の色を供給する色素
機能があります。そして、色素幹細胞と毛包幹細胞が同時に活性化することに
より色のついた髪が繰り返し再生するといわれています。バルジ領域において
毛包幹細胞と色素幹細胞がしっかり働くことで発毛が促されるのです。
●毛の再生・サイクルのスピード
毛には「毛周期」と呼ばれる生えかわりのサイクルがあります。毛母細胞が
分裂をはじめると、皮膚の下の方で新しい毛が再生され、毛細血管から栄養素
を取り込みながら太く伸び、表皮の上へ出てきます。この時期が成長期です。
その後、毛母細胞の分裂が止まって毛が抜ける準備をする退行期に入ると、毛
乳頭と毛の結合が緩み、毛が上へ押し上げられます。さらに、休止期に入ると、
毛と毛乳頭が完全に離れて自然に抜け落ちます。
このように、毛は成長期・退行期・休止期を一定の周期で繰り返し、再生し
ていきます。また、毛包幹細胞が成長期・退行期・休止期において、細胞分裂
を繰り返すことで毛を再生しており、細胞分裂の活性が低下すると毛の再生・
サイクルのスピードが遅くなるなど、毛周期の異常が起こります。
コラム・白髪と抜け毛の抑制「17型コラーゲン」
現在、幹細胞医学分野では、白髪や発毛の研究が進められています。中でも、
「17型コラーゲン」は、白髪と抜け毛を抑制することが可能であるといわれて
います。また、コラーゲンといっても、実は29種類も存在し、それぞれが違う
役割を担っており、その中で髪と大きく関係があるといわれているのが17型コ
ラーゲンです。これは、バルジ領域にある毛包幹細胞に存在し、毛包幹細胞と
隣り合う色素幹細胞の維持を助ける働きもしていると考えられ、髪の毛の成長
のサポートや抜け毛を防ぐのと同時に、髪の色を黒く保つという大切な役割を
担っています。17型コラーゲンは、年齢とともに減少してしまいます。17型コ
ラーゲンが不足することによって、毛包幹細胞と色素幹細胞との間の相互作用
による幹細胞維持機構が破綻し、白髪や脱毛が起こります。
17型コラーゲンは、豚や鶏の軟骨などに含まれているタンパク質ですが、こ
れらを摂取しても体内で17型コラーゲンは増えないといわれています。また、
現在の段階では、17型コラーゲンを人工的につくることは難しいとされている
ため、17型コラーゲンを増やすというよりも、「減らさないようにするための治
療薬」の研究が進められていることに多くの期待が寄せられています。
3.中から高める「免疫力」 [健康]
人間の体には、細菌やウイルスなど病原体による病気を抑え込む力があります。
これが免疫力であり、人間が生まれながらにしてもっている体を守る力です。
(1)免疫機能を司る白血球
体内に侵入した細菌やウイルスなどの異物から体を守る免疫システムを担っ
ているのが「白血球」です。白血球は、骨の中で生まれます。骨の中には、骨
髄というスポンジ状の組織があり、多能性幹細胞(造血幹細胞)という特殊な
細胞がつまっています。この多能性幹細胞からさまざまな細胞が分化して誕生
しています。
多能性幹細胞から生まれる白血球は、顆粒球・リンパ球・単球に分けられ、
顆粒球はさらに好中球、好塩基球、好酸球に、リンパ球はT細胞、B細胞、NK
細胞に分けられます。
(2)2つの免疫システム
免疫機能は、用途の違いによって「自然免疫」と「獲得免疫」の2種類に
分けられます。
体内に侵入した異物を直ちに排除する「自然免疫」と、侵入した異物の情報
をリンパ球が認識し、その情報に基づいて特定の異物を排除する「獲得免疫」
が存在します。それぞれの免疫システムには次のような働きや特徴があります。
<自然免疫>
自然免疫は、生まれつき体内に備わっている免疫のしくみで、生体防御の最
前線に位置しているともいえます。これは、生物の進化上最も古くから存在す
る機能で、主に好中球(顆粒球)、マクロファージ、NK細胞などが担ってい
ます。自然免疫は、緊急事態が発生したときに、何よりも迅速な対応が求めら
れる段階で機能し、発見した異物を直ちに排除する働きをしています。
●自然目ね旗細胞の代表「好中球」
自然免疫の中で、中心的役割を担うのが好中球です。好中球は血液の中で循
環しているものと、血管の内壁に付着しているものがあり、それらを伴せて80
~500億個が機能しているといわれています。また、血液細胞の巣ともいえる骨
髄には、さらに10~30倍の好中球が、緊急事態に備えて待機しているため、異
物の侵入の際に現場へ急行することができます。
好中球の寿命は、1~2日です。細菌などの侵入により血管に傷がつくと、そ
の部位でインターロイキン-8と呼ばれる物質がつくり出され、好中球はこれを
指標として現場である炎症部に向かいます。細菌と出会った好中球は、細菌を
食べ、殺菌する働きをしています。これを貪食といい、数分の間で10~15個
の細菌を食べるといわれています。細菌を食べ尽くし役目を果たした好中球は、
自分自身もダメージを受け次々に死んでいきます。死んだ好中球の細胞は、マ
クロファージという別の細胞によって貪食されることで炎症が落ち着きます。
●異常な細胞を殺す「NK細胞(ナチュラルキラー細胞)」
NK細胞は、その名の通り「生まれながらの殺し屋」と呼ばれ、自然免疫で活
躍します。主な働きは、外部からの侵入者というよりもがん細胞などの胎内で
生まれた異常細胞を殺すことです。T細部やB細胞などのリンパ球とは違い、
病原体の感染経験がなくても、異物を特定することなく(非特異性)、がん細胞
などを破壊する能力をもっています。
全身を構成する多くの細胞は、個人を特定するためのMHCというタンパク
分子をもっています。NK細胞は、体内を監視しているときに、このMHC分子
をもっていない細胞を見つけると、異常な細胞として認識し、NK細胞内の殺傷
タンパク質を振りかけて攻撃します。
●侵入者を食べて処理する「マクロファージ」
マクロファージは、血液中にある白血球の約5%を占める免疫細胞です。マク
ロは、「大きい」「長い」、ファージは「食べるもの」「細胞を破壊する細胞」を意
味し、このことから「貪食細胞」Tおも呼ばれています。マクロファージは、細
菌やウイルスなどの病原体、免疫細胞の残骸などを貪食します。この貪食作用
は、外部からの病原体を処理するだけでなく、壊れてしまった自分の細胞や血
小板の働きで固まった血液を食べる働きもしています。
また、たばこの煙や食品中の有害物質など、発がん性のある物質にさらされ
ても簡単にがんにならないこともマクロファージを含む免疫細胞の働きです。
がん細胞は、細胞核に存在する遺伝子が発がん物質の影響でダメージを受ける
ことによって、通常の細胞が変異し強力な増殖能力を獲得したものですが、免
疫はこのような“細胞の失敗作”も認識することができ、マクロファージによっ
て処分されます。そのため、がん細胞が発生しても、収拾がつかないほど増
殖する前に処分できるのです。
マクロファージは、貪食作用のほかに異物が体内に侵入したことを、そのほ
かの免疫細胞に知らせる役割も併せもっています。これを「抗原提示」といい
ます。これは、全身の免疫細胞が臨戦態勢になるきっかけを与える重要なもの
です。異物を取り込んだマクロファージは、その残骸を細胞の表面に提示しま
す。残骸を体の表面にくっつけておくことで、体内に侵入者がいることをヘル
パーT細胞などに知らせる大切な役割をしています。
また、アメーバ状のマクロファージは、存在する場所によって姿を変え、全
身のあらゆる場所に存在していますが、同じ細胞でも分布位置によって名称や
戦う相手が異なります。例えば、脳ではグリア細胞と呼ばれ、偽足という伸縮
する足を多くもつ形をしています。肝臓ではクッパー細胞といい、門脈から肝
臓に入った異物の処理、肺の細胞マクロファージは異物を飲み込み処理します。
<獲得免疫>
獲得免疫は、生まれつき備わっている自然免疫に対し、出生後に病原体と接
触する経験をしたとき、二度目に感染しても発病しないようにするシステムで
す。獲得免疫は、侵入した外敵と戦うだけでなく、記憶細胞という特殊な機能
をもつ細胞に変化することで、過去にどのような敵と戦ったかを記憶する役割
ももっています。
自然免疫の実働部隊が、好中球やマクロファージであるのに対し、獲得免疫
の実働部隊は、T細胞やB細胞などのリンパ球です。
●免疫の司令塔「T細胞」
T細胞にはいくつかの種類がありますが、主なものは「ヘルパーT細胞」「キ
ラーT細胞」「サプレッサーT細胞」の3つです。これらのT細胞が体内に侵入
してきた病原体などに対し攻撃をしてくれます。
ヘルパーT細胞は、免疫の司令塔のような役割をしています。しかし、ヘルパ
ーT細胞自身は、体内で起きている異常をキャッチする能力をもっていません。
ここで登場するのがマクロファージです。敵と遭遇したマクロファージは、貪
食した病原体などの断片を細胞表面に提示することでその情報をヘルパーT細
胞に報告します。それを見たヘルパーT細胞は、B細胞に敵をつかまえるための
抗体をつくらせ、キラーT細胞に敵を殺す指令を下します。
キラーT細胞は名前の通り「殺し屋」です。キラーT細胞は、ヘルパーT細胞
からの指示を受けて、能力を発揮します。この威力はとても強く、がん細胞に
も攻撃をし、殺してしまうほどです。健康な体でも、がん細胞は毎日3,000~
5,000個ほど生まれているといわれていますが、キラーT細胞やNK細胞が活躍
をしてくれているおかげで毎日がん細胞は破壊され、がんという病気の発症を
抑制しています。また、キラーT細胞とB細胞が暴走しないように見守るサブ
レッサーT細胞というものがあります。2つの細胞が、過剰な攻撃をしたり、武
器をむやみにつくらないように監視をし、免疫反応を終了へと導きます。
このように、T細胞にはそれぞれ異なる働きの細胞があり、全身を監視するこ
とにより、私たちの体に防御されています。
●敵を記憶する「B細胞」
B細胞の役割は、体内を循環しながら病原体などの侵入者を発見し、その侵
入者とだけ反応して敵の毒素を無毒化したり、敵の機能を破壊する物質をつく
り出したりすることです。侵入者のことを「抗原」、つくり出された物質を「抗
体」といいます。このように、適切に敵を認識してそれに対する防御が作動す
ることを「抗原抗体反応」といいます。
抗体は、免疫グロブリンというタンパク質でできている物質で、特定の侵入
者に対抗するための専用の武器となります。B細胞は、抗体をいつまでも温存
し、もしも二度目の攻撃を受けた際には、より速やかに攻撃できるように準備
しておきます。特に、このような敵を覚えておく役割を新たに引き受けたB細
胞を「メモリーB細胞」といいます。
このように私たちの体は、自然免疫と獲得免疫の働きによって守らている
のです。
これが免疫力であり、人間が生まれながらにしてもっている体を守る力です。
(1)免疫機能を司る白血球
体内に侵入した細菌やウイルスなどの異物から体を守る免疫システムを担っ
ているのが「白血球」です。白血球は、骨の中で生まれます。骨の中には、骨
髄というスポンジ状の組織があり、多能性幹細胞(造血幹細胞)という特殊な
細胞がつまっています。この多能性幹細胞からさまざまな細胞が分化して誕生
しています。
多能性幹細胞から生まれる白血球は、顆粒球・リンパ球・単球に分けられ、
顆粒球はさらに好中球、好塩基球、好酸球に、リンパ球はT細胞、B細胞、NK
細胞に分けられます。
(2)2つの免疫システム
免疫機能は、用途の違いによって「自然免疫」と「獲得免疫」の2種類に
分けられます。
体内に侵入した異物を直ちに排除する「自然免疫」と、侵入した異物の情報
をリンパ球が認識し、その情報に基づいて特定の異物を排除する「獲得免疫」
が存在します。それぞれの免疫システムには次のような働きや特徴があります。
<自然免疫>
自然免疫は、生まれつき体内に備わっている免疫のしくみで、生体防御の最
前線に位置しているともいえます。これは、生物の進化上最も古くから存在す
る機能で、主に好中球(顆粒球)、マクロファージ、NK細胞などが担ってい
ます。自然免疫は、緊急事態が発生したときに、何よりも迅速な対応が求めら
れる段階で機能し、発見した異物を直ちに排除する働きをしています。
●自然目ね旗細胞の代表「好中球」
自然免疫の中で、中心的役割を担うのが好中球です。好中球は血液の中で循
環しているものと、血管の内壁に付着しているものがあり、それらを伴せて80
~500億個が機能しているといわれています。また、血液細胞の巣ともいえる骨
髄には、さらに10~30倍の好中球が、緊急事態に備えて待機しているため、異
物の侵入の際に現場へ急行することができます。
好中球の寿命は、1~2日です。細菌などの侵入により血管に傷がつくと、そ
の部位でインターロイキン-8と呼ばれる物質がつくり出され、好中球はこれを
指標として現場である炎症部に向かいます。細菌と出会った好中球は、細菌を
食べ、殺菌する働きをしています。これを貪食といい、数分の間で10~15個
の細菌を食べるといわれています。細菌を食べ尽くし役目を果たした好中球は、
自分自身もダメージを受け次々に死んでいきます。死んだ好中球の細胞は、マ
クロファージという別の細胞によって貪食されることで炎症が落ち着きます。
●異常な細胞を殺す「NK細胞(ナチュラルキラー細胞)」
NK細胞は、その名の通り「生まれながらの殺し屋」と呼ばれ、自然免疫で活
躍します。主な働きは、外部からの侵入者というよりもがん細胞などの胎内で
生まれた異常細胞を殺すことです。T細部やB細胞などのリンパ球とは違い、
病原体の感染経験がなくても、異物を特定することなく(非特異性)、がん細胞
などを破壊する能力をもっています。
全身を構成する多くの細胞は、個人を特定するためのMHCというタンパク
分子をもっています。NK細胞は、体内を監視しているときに、このMHC分子
をもっていない細胞を見つけると、異常な細胞として認識し、NK細胞内の殺傷
タンパク質を振りかけて攻撃します。
●侵入者を食べて処理する「マクロファージ」
マクロファージは、血液中にある白血球の約5%を占める免疫細胞です。マク
ロは、「大きい」「長い」、ファージは「食べるもの」「細胞を破壊する細胞」を意
味し、このことから「貪食細胞」Tおも呼ばれています。マクロファージは、細
菌やウイルスなどの病原体、免疫細胞の残骸などを貪食します。この貪食作用
は、外部からの病原体を処理するだけでなく、壊れてしまった自分の細胞や血
小板の働きで固まった血液を食べる働きもしています。
また、たばこの煙や食品中の有害物質など、発がん性のある物質にさらされ
ても簡単にがんにならないこともマクロファージを含む免疫細胞の働きです。
がん細胞は、細胞核に存在する遺伝子が発がん物質の影響でダメージを受ける
ことによって、通常の細胞が変異し強力な増殖能力を獲得したものですが、免
疫はこのような“細胞の失敗作”も認識することができ、マクロファージによっ
て処分されます。そのため、がん細胞が発生しても、収拾がつかないほど増
殖する前に処分できるのです。
マクロファージは、貪食作用のほかに異物が体内に侵入したことを、そのほ
かの免疫細胞に知らせる役割も併せもっています。これを「抗原提示」といい
ます。これは、全身の免疫細胞が臨戦態勢になるきっかけを与える重要なもの
です。異物を取り込んだマクロファージは、その残骸を細胞の表面に提示しま
す。残骸を体の表面にくっつけておくことで、体内に侵入者がいることをヘル
パーT細胞などに知らせる大切な役割をしています。
また、アメーバ状のマクロファージは、存在する場所によって姿を変え、全
身のあらゆる場所に存在していますが、同じ細胞でも分布位置によって名称や
戦う相手が異なります。例えば、脳ではグリア細胞と呼ばれ、偽足という伸縮
する足を多くもつ形をしています。肝臓ではクッパー細胞といい、門脈から肝
臓に入った異物の処理、肺の細胞マクロファージは異物を飲み込み処理します。
<獲得免疫>
獲得免疫は、生まれつき備わっている自然免疫に対し、出生後に病原体と接
触する経験をしたとき、二度目に感染しても発病しないようにするシステムで
す。獲得免疫は、侵入した外敵と戦うだけでなく、記憶細胞という特殊な機能
をもつ細胞に変化することで、過去にどのような敵と戦ったかを記憶する役割
ももっています。
自然免疫の実働部隊が、好中球やマクロファージであるのに対し、獲得免疫
の実働部隊は、T細胞やB細胞などのリンパ球です。
●免疫の司令塔「T細胞」
T細胞にはいくつかの種類がありますが、主なものは「ヘルパーT細胞」「キ
ラーT細胞」「サプレッサーT細胞」の3つです。これらのT細胞が体内に侵入
してきた病原体などに対し攻撃をしてくれます。
ヘルパーT細胞は、免疫の司令塔のような役割をしています。しかし、ヘルパ
ーT細胞自身は、体内で起きている異常をキャッチする能力をもっていません。
ここで登場するのがマクロファージです。敵と遭遇したマクロファージは、貪
食した病原体などの断片を細胞表面に提示することでその情報をヘルパーT細
胞に報告します。それを見たヘルパーT細胞は、B細胞に敵をつかまえるための
抗体をつくらせ、キラーT細胞に敵を殺す指令を下します。
キラーT細胞は名前の通り「殺し屋」です。キラーT細胞は、ヘルパーT細胞
からの指示を受けて、能力を発揮します。この威力はとても強く、がん細胞に
も攻撃をし、殺してしまうほどです。健康な体でも、がん細胞は毎日3,000~
5,000個ほど生まれているといわれていますが、キラーT細胞やNK細胞が活躍
をしてくれているおかげで毎日がん細胞は破壊され、がんという病気の発症を
抑制しています。また、キラーT細胞とB細胞が暴走しないように見守るサブ
レッサーT細胞というものがあります。2つの細胞が、過剰な攻撃をしたり、武
器をむやみにつくらないように監視をし、免疫反応を終了へと導きます。
このように、T細胞にはそれぞれ異なる働きの細胞があり、全身を監視するこ
とにより、私たちの体に防御されています。
●敵を記憶する「B細胞」
B細胞の役割は、体内を循環しながら病原体などの侵入者を発見し、その侵
入者とだけ反応して敵の毒素を無毒化したり、敵の機能を破壊する物質をつく
り出したりすることです。侵入者のことを「抗原」、つくり出された物質を「抗
体」といいます。このように、適切に敵を認識してそれに対する防御が作動す
ることを「抗原抗体反応」といいます。
抗体は、免疫グロブリンというタンパク質でできている物質で、特定の侵入
者に対抗するための専用の武器となります。B細胞は、抗体をいつまでも温存
し、もしも二度目の攻撃を受けた際には、より速やかに攻撃できるように準備
しておきます。特に、このような敵を覚えておく役割を新たに引き受けたB細
胞を「メモリーB細胞」といいます。
このように私たちの体は、自然免疫と獲得免疫の働きによって守らている
のです。
2.外から高める「防御力」
2.外から高める「防御力」
私たちの体は、異物を体内に侵入しないようにするための防御力を全身(細
胞、組織、気管等)にもっており、それぞれが独自の防御力によって体を守っ
ています。本章では、体の中のさまざな防御力についてみていきましょう。
<目の防御力>
目の表面は、涙で覆われていることによって空気中の刺激から守られていま
す。涙は、上まぶたにある涙腺や結膜から分泌されて目頭にある涙点という穴
から排出されます。細菌やウイルスが目に入ってもこの循環によって目の外に
排出されます。涙は、さまざまな働きをする3つの異なる成分の層が重なって
目を守っています。角膜に接しているのが「ムチン層」で涙を目の表面にとど
める働きをしています。そして一番外側にあるのが「油層」で、涙が蒸発する
のをふたのようにして防ぐ働きをしています。
目の表面は、角膜上皮という代謝のよい細胞でできており、次々に新しい細
胞に入れ替わっています。細菌やウイルスが涙の防御をすり抜けて細胞に侵入
しても、すぐに古い細胞とともに涙と一緒に排出されます。
<鼻の防御力>
人間は、基本的に鼻から空気を取り入れますが、もし空気中の体によくない
もの(異物)が侵入すると、鼻の防御力が働きます。鼻は細菌やウイルスなど
の異物を感じると、まず「くしゃみ」で異物を吹き飛ばします。そして、「鼻水」
と一緒に異物を洗い流し、体内に異物を侵入させないように粘膜の炎症を起こ
して鼻をつまらせます。くしゃみ・鼻水・鼻づまりは、人間の体を守るための
大切な防御力なのです。
<口の防御力>
唾液は、唾液腺から口腔内に分泌される分泌液であり、その中にはさまざま
な殺菌・抗菌作用をもつ抗菌因子が存在しているため、細菌やウイルスなどの
異物が口の中へ侵入したときに体を守る働きをしています。唾液の抗菌因子に
は、免疫グロブリン(1gA、1gG、1gMなど)やラクトフェリン、リゾチームな
どがあり、微生物からの毒性物質の産生と微生物の増殖を抑制し、直接・関節
的に作用して抗菌します。
<気管・咽頭の防御力>
人は呼吸の際に、空気とともに微細な異物を取り込みます。取り込まれた異
物は、気管・咽頭で分泌されている粘液にからみ、痰として口から排出される
ことで異物の肺への侵入が妨げられています。また、気管・咽頭を強く刺激す
る大きな異物や煙などの有害物質が入り込むと、瞬時に排出しようとして出る
咳も防衛機能の一種です。
<皮膚の防御力>
皮膚は、体の中で最も大きな体積と重量を有する組織であり、紫外線や細菌
やウイルスなどの外部の刺激から、私たちの体を防御する重要な役割を担って
います。
皮膚は、大まかに表皮・真皮・皮下組織から構成されています。特に皮膚の
最も外側にあり、外部からの刺激を防ぐ働きをしているのが表皮です。
表皮は、外側から角質層、顆粒層、有棘層、基底層の4つの層から成ってお
り、角質層は皮膚の最外層として外部とじかに接することで、外部の刺激から
体を守る重要な働きをしています。
私たちの体は、異物を体内に侵入しないようにするための防御力を全身(細
胞、組織、気管等)にもっており、それぞれが独自の防御力によって体を守っ
ています。本章では、体の中のさまざな防御力についてみていきましょう。
<目の防御力>
目の表面は、涙で覆われていることによって空気中の刺激から守られていま
す。涙は、上まぶたにある涙腺や結膜から分泌されて目頭にある涙点という穴
から排出されます。細菌やウイルスが目に入ってもこの循環によって目の外に
排出されます。涙は、さまざまな働きをする3つの異なる成分の層が重なって
目を守っています。角膜に接しているのが「ムチン層」で涙を目の表面にとど
める働きをしています。そして一番外側にあるのが「油層」で、涙が蒸発する
のをふたのようにして防ぐ働きをしています。
目の表面は、角膜上皮という代謝のよい細胞でできており、次々に新しい細
胞に入れ替わっています。細菌やウイルスが涙の防御をすり抜けて細胞に侵入
しても、すぐに古い細胞とともに涙と一緒に排出されます。
<鼻の防御力>
人間は、基本的に鼻から空気を取り入れますが、もし空気中の体によくない
もの(異物)が侵入すると、鼻の防御力が働きます。鼻は細菌やウイルスなど
の異物を感じると、まず「くしゃみ」で異物を吹き飛ばします。そして、「鼻水」
と一緒に異物を洗い流し、体内に異物を侵入させないように粘膜の炎症を起こ
して鼻をつまらせます。くしゃみ・鼻水・鼻づまりは、人間の体を守るための
大切な防御力なのです。
<口の防御力>
唾液は、唾液腺から口腔内に分泌される分泌液であり、その中にはさまざま
な殺菌・抗菌作用をもつ抗菌因子が存在しているため、細菌やウイルスなどの
異物が口の中へ侵入したときに体を守る働きをしています。唾液の抗菌因子に
は、免疫グロブリン(1gA、1gG、1gMなど)やラクトフェリン、リゾチームな
どがあり、微生物からの毒性物質の産生と微生物の増殖を抑制し、直接・関節
的に作用して抗菌します。
<気管・咽頭の防御力>
人は呼吸の際に、空気とともに微細な異物を取り込みます。取り込まれた異
物は、気管・咽頭で分泌されている粘液にからみ、痰として口から排出される
ことで異物の肺への侵入が妨げられています。また、気管・咽頭を強く刺激す
る大きな異物や煙などの有害物質が入り込むと、瞬時に排出しようとして出る
咳も防衛機能の一種です。
<皮膚の防御力>
皮膚は、体の中で最も大きな体積と重量を有する組織であり、紫外線や細菌
やウイルスなどの外部の刺激から、私たちの体を防御する重要な役割を担って
います。
皮膚は、大まかに表皮・真皮・皮下組織から構成されています。特に皮膚の
最も外側にあり、外部からの刺激を防ぐ働きをしているのが表皮です。
表皮は、外側から角質層、顆粒層、有棘層、基底層の4つの層から成ってお
り、角質層は皮膚の最外層として外部とじかに接することで、外部の刺激から
体を守る重要な働きをしています。
1.「自然治癒力」を高める4つの力 [健康]
1.「自然治癒力」を高める4つの力
私たちの体には、医療や薬品に頼らなくてもあらゆる病気に打ち勝ち、自然
に生きようとする能力である「自然治癒力」が備わっています。例えば、有害
物質が体内に侵入しないように皮膚や粘膜などで体の内部と外部を明確に区分
して体を防御する力、その防御する力を乗り越えて有害物質が体内に侵入した
場合の攻撃に備える力、また、外部からの攻撃を受けて、体が傷ついた場合に
も速やかに元に戻す力などがあります。これらの自然治癒力が、お互いに協調
しながら働くことで、私たちの生命は守られています。
(1)自然治癒力とは
現在、私たちは、自分自身の健康を自らの手で守る時代となり、健康を害す
る要因が溢れていても。日ごろから正しく健康管理を行うことで健康な生涯を
全うできるのです。なぜなら、私たちの体には、健康に生活するための素晴ら
しい力がみなぎっているからです。その素晴らしい力とは、自然治癒力です。
病気やけがを治し、私たちの体を常に健康な状態に保とうとする力は、医療や
薬品ではなく、私たちがもつ自然治癒力なのです。
(2)自然治癒力は健康の源
人間にはもともと病気やけがに打ち勝つ力が備わっています。それを自然治
癒力と呼びますが、現在の日本社会での生活環境には、その自然治癒力そのも
のの力を低下させる要因が多くあります。さまざまなストレッサーや環境汚染
物質、食品添加物の氾濫など、医学の進歩を超える勢いで人間の健康を害する
ことわざがあります。病気やケガは、医者が治すものではなく、自分自身の自
然治癒力が治すのです。医療技術がいくら進歩しても、病気と前向きに闘って
いこうとする自分自身の自然治癒力が弱まると、治るものも治らないというこ
とになります。この人間がもともともっている自然治癒力こそ健康の原点であ
り、自然治癒力が衰えたとき、人は健康を害していくのです。
私たちの体には、医療や薬品に頼らなくてもあらゆる病気に打ち勝ち、自然
に生きようとする能力である「自然治癒力」が備わっています。例えば、有害
物質が体内に侵入しないように皮膚や粘膜などで体の内部と外部を明確に区分
して体を防御する力、その防御する力を乗り越えて有害物質が体内に侵入した
場合の攻撃に備える力、また、外部からの攻撃を受けて、体が傷ついた場合に
も速やかに元に戻す力などがあります。これらの自然治癒力が、お互いに協調
しながら働くことで、私たちの生命は守られています。
(1)自然治癒力とは
現在、私たちは、自分自身の健康を自らの手で守る時代となり、健康を害す
る要因が溢れていても。日ごろから正しく健康管理を行うことで健康な生涯を
全うできるのです。なぜなら、私たちの体には、健康に生活するための素晴ら
しい力がみなぎっているからです。その素晴らしい力とは、自然治癒力です。
病気やけがを治し、私たちの体を常に健康な状態に保とうとする力は、医療や
薬品ではなく、私たちがもつ自然治癒力なのです。
(2)自然治癒力は健康の源
人間にはもともと病気やけがに打ち勝つ力が備わっています。それを自然治
癒力と呼びますが、現在の日本社会での生活環境には、その自然治癒力そのも
のの力を低下させる要因が多くあります。さまざまなストレッサーや環境汚染
物質、食品添加物の氾濫など、医学の進歩を超える勢いで人間の健康を害する
ことわざがあります。病気やケガは、医者が治すものではなく、自分自身の自
然治癒力が治すのです。医療技術がいくら進歩しても、病気と前向きに闘って
いこうとする自分自身の自然治癒力が弱まると、治るものも治らないというこ
とになります。この人間がもともともっている自然治癒力こそ健康の原点であ
り、自然治癒力が衰えたとき、人は健康を害していくのです。