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1.「五感は生きる力」(2)五感の誕生 [健康]

(2)五感の誕生

 五感は、一度に全てが誕生するわけではなく、成長とともに順に誕生してい
いきます。五感の形成が早い順にみていきます。





①触覚
 一番初めに形成される感覚が、触覚です。母胎に受精卵が着床した後、自己
と外界を区別するものとして人間の皮膚が最初に形成されます。そして、妊娠
10週ころになると、胎児は子宮内で自ら指しゃぶりをはじめます。指しゃぶ
りは、触るという感覚と、触られるという感覚が同時に感じられる行為です。

②聴覚
 妊娠16週~20週ころになると、胎児の聴覚が形成されはじめます。徐々に聴
覚が発達していき、母体外の周囲の音や、母親の声を聞くことができるように
なります。

③味覚・嗅覚
 妊娠28週~30週ころになると、味覚と嗅覚が形成されます。味覚と嗅覚は、
化学物質に対して反応を示す感覚であり、受容器の位置が近いことから、共感
覚が生じやすいといわれています。

④視覚
 最後に形成されるのが視覚です。視覚は、生後、成長とともに完成されてい
きます。新生児の目は形成過程にあり、明暗しか分からないため、初めに目に
する外界は白黒でぼんやりとしています。生後2ヵ月を過ぎると、形や色を認
識する細胞が働きはじめ、カラーテレビのような色彩豊かな情景を見られるよ
うになるのです。また、目の筋肉が発達して焦点が合うようになると、物を立
体的に見たり、目で物を追ったりすることができるようになります。



 外界の情報は、五感全てを通して受け取っていますが、情報全体の実に約80%
は、視覚からの影響を受けているとされています。



◎外界情報獲得における五感の割合

視覚 約83%
聴覚 約11%
嗅覚 約3.5%
触覚 約1.5%
味覚 約1%





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1.「五感は生きる力」(1)人間らしさを生む「五感」 [健康]

(1)人間らしさを生む「五感」






 私たちが生きているということは、食べ物から栄養素を取り入れること、呼
吸をして酸素を取り入れること、心臓が休みなく動くこと、全身に血液を循環
させることなどが必要ですが、それだけで本当に生きているといえるのでしょ
うか。私たちが生きていると感じるのは、嬉しくなったり、悲しくなったり、
あるいは苦しい思いをしたりしたときではないでしょうか。そのような思いは、
私たちの脳の中に湧き上がってくるものですが、脳が勝手につくり出している
わけではありません。それは、外界を見たり聞いたりして、そこから得られる
さまざまな経験から生まれてくるものです。

 このとき、受け取る光や音など外界からの信号を「刺激」、受け取ったことで
体の中に起きる反応を「感覚」といいます。人間にはさまざまな感覚があると
いわれていますが、中でも代表的な5つをまとめて「五感」といいます。なお、
五感などの感覚によって外界の様子を知ることを「知覚」といいます。

 しかし、近年はさまざまな技術が進歩し、暮らしが便利になるとともに、自
分の五感を使って判断する必要が少なくなってきました。食品の鮮度は、賞味
期限で判断し、嗅覚を使って「変な臭いがする」と確かめることが少なくなり、
毎日の天気は、天気予報で判断し、視覚や嗅覚を使って天気を推測し、「雲行き
が怪しい」などと感じることも少なくなってきてはいないでしょうか。

 私たちが持つ五感という素晴らしいアンテナのしくみと働きを理解し、活用
できるよう学んでいきましょう。






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6.自然治癒力を高める生活術 [健康]




 自然治癒力の「防御力」「免疫力」「再生力」「精神力」の4つの力を高めるた
めには、普段の生活において食事や運動など生活習慣に気を付けることが大切
です。ここでは、自然治癒力を高めるための生活術を紹介します。






<防御力>
●唾液の量を増やす
 唾液の分泌は、年齢とともに減少していきます。唾液の分泌量の減少は、殺
菌作用の低下を意味し、それに従って口の中に細菌やウイルスなどが増殖した
り、むし歯の原因となるさまざまな体の不調をもたらす要因になります。
唾液を増やすためには、水分を多く取ることや食べ物をよく噛むなどの工夫が
大切です。




●肌を守る紫外線対策
 紫外線は、肌にダメージを与える大きな要因の1つです。紫外線は、波長の
長い順にUV-A、UV-B、UV-Cと呼ばれる種類があります。中でも、UV-AとUV
-Bは2つとも肌に悪影響を与えます。UV-Aは基底層や真皮にまで到達し、
しみの原因となるメラニン色素を大量生産します。UV-Bは表皮に影響を与える
紫外線で、皮膚に炎症を引き起こします。紫外線を防止して肌を守るためには、
日焼け止めを塗ることがとても大切です。特に4~5月にかけては紫外線量が急
激に増えるため注意が必要です。



<免疫力>
●体温を上げる
 体温が下がると、血管が収縮して血行が悪くなることで、体内に侵入した異
物を攻撃する白血球が集まりにくくなり、細菌やウイルスなどを撃退すること
ができずに、病気が発症しやすくなります。免疫力が正常に保たれる体温は
36.5℃程度であり、体温が1℃下がると免疫力が約30% 低下し、逆に1℃上がる
と一時的に最大5~6倍アップするといわれています。



●腸内環境を整える
 蝶の中には、善玉菌と悪玉菌、日和見菌が存在し、善玉菌が多いと免疫力が
高まります。脂質の多い食事やストレス、冷えなどで腸が活性化しなくなって
しまうと、悪玉菌が増えすぎて免疫力が低下します。善玉菌を増やすには食物
繊維などを積極的に取ることがおすすめです。




<再生力>
●骨の再生
 骨折したときは、その部位の骨代謝が盛んに行われます。そのときにバラン
スのよい食事がしいかり取れていれば、骨代謝が好循環して治療期間を短縮す
ることが可能です。
 また、骨折しているときに食事で取りたい栄養素や成分には、骨タンパク質
である1型コラーゲンの合成を助けるものと、カルシウムの吸収を助けるもの
があります。
・コラーゲンの合成:コラーゲン・ビタミンC・鉄など
・カルシウム吸収:カルシウム・ビタミンD・ビタミンK・マグネシウムなど




●肝臓の再生
 肝臓の再生力を高めるためには、破壊された幹細胞の再生に重要なタンパク
質や、肝臓の代謝活動を促進するビタミンB群を取るのが効果的といわれてい
ます。痛んだ幹細胞の修復には、脂質の少ない肉や魚、卵、牛乳、乳製品、大
豆製品などの良質なタンパク質が必要とされています。



●血管の再生
 血管によい食べ物とは、血液をサラサラにしてくれる野菜や海藻類、血栓を
溶かす作用がある納豆やクエン酸を含む食べ物、血管を丈夫にするタンパク質
を含む食べ物などさまざまなものがあります。これらの血管によい食べ物をバ
ランスよく食べることは、動脈硬化などの疾患を防ぎ、心筋梗塞や脳梗塞とい
った病気の予防や改善につながります。



<精神力>
 笑いは、自律神経や脳内神経伝達物質に影響を与え、心を和らげることによ
って、免疫力を高めると考えられています。脳の活性化と免疫力の強化という
一石二鳥の効果をもたらす笑いの大切さを、私たちは改めて認識する必要があ
りそうです。


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5.心を高める「精神力」 [健康]






 自然治癒力を活かすためには、精神面を整えることも大切です。心のあり方
は、けがや病気などの外敵な治癒力にも大きな影響を与えています。



(1)呼吸と治癒力の関係



 呼吸は、ただ単に体に酸素を取り入れるという単純な作用だけではなく、心
の状態にもかかわりがあります。呼吸は、意識せずにいてもきちんと行えるも
のであると同時に、意識してコントロールできるものでもあります。心身医学
や精神神経免疫学の臨床上の実践において、呼吸を自発的にコントロールする
ことの重要性も注目されています。つまり、呼吸によって意識の状態を変える
ことは、呼吸が「心の状態」を大きく左右するものであるということは分かり
ます。

 心の状態というのは、呼吸に大きく現れます。焦っているときやイライラし
ているときは浅く速い呼吸、心が穏やかなときは深くゆっくりな呼吸というよ
うに、心の状態によって呼吸も変わります。また、呼吸・生命活動・心の状態
は深いかかわりがあると考えられており、自律神経のバランスや内臓の働きを
整える役割があるといわれていることから、呼吸は自然治癒力を活かす基本条
件ともいえます。






(2)“笑い”は免疫力を上げる?







 「笑い」はストレスの解消と免疫力のアップにつながるといわれています。
細菌やウイルスなどの異物から体を守るNK細胞は、笑いによって数が増え、
働きが活性化するといわれています。

 また、笑うことによって脳内の「エンドルフィン」「ドーパミン」「セロトニ
ン」などの神経伝達物質が増え、ストレス状態を解消しプラス思考になるとい
われています。エンドルフィンにはアルファ(α)・ベータ(β)・ガンマ(γ)の
3つがあり、その中でもβ-エンドルフィンは、苦痛を取り除く時に最も多く
分泌されます。また、物質の構造が麻薬のモルヒネと似ているため、「脳内モル
ヒネ」とも呼ばれており、鎮痛作用もあるといわれています。


 ドーパミンは、やる気モチベーションの維持にかかわる神経伝達物質であ
り、ストレスホルモンである「コルチゾール」の分泌を抑え、ストレスや憂う
つな気分から開放する働きがあるといわれています。

 セロトニンは、心を安定した状態に保ち、穏やかさを生み出してくれる神経
伝達物質といわれています。セロトニンが分泌されるとストレスから解放され、
不足すると睡眠障害などに悩まされることになります。






(3)信じていれば効果あり?プラシーボ効果





 プラシーボ効果とは「思い込み」が身体に影響を及ぼすことをいいます。薬
効成分を含まない偽薬の服用、思わせぶりに出された砂糖水の飲用、あるいは
切り傷を少しつけただけの偽手術、患者に対する医師や看護師の自信に満ちた
親密な態度など、効果を示すはずがないと考えられる行為によっても、時にそ
れを受けた人が身体的あるいは精神的変化を起こすことが広く知られています。


この「効かないはずのものが効いた」という、一般に広く認められるものの科
学的には説明不可能な治癒現象を一つの概念として共有するために、「説明不可
能性そのもの」に対して与えられた名称がプラシーボ効果です。


 現在では、偽薬や偽治療そのものに薬理学的な効果はなく、それらを用いた
治療行為の周辺事象の全てが、人間の心身にポジティブな影響を及ぼすものだ
と考えられています。その詳細な解明は未だにされていませんが、心理的要因
が身体に影響を及ぼすということは、注目すべき現象といえます。





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(4)臓器の再生に大きく影響する血管新生 [健康]

 血管は、自分自身を修復するだけでなく、ほかの臓器の自然治癒にも積極的
に関与しています。体の一部や臓器が損傷されたとき、血管も当然損傷されま
すが、細胞は常に栄養素や酸素の供給を求めているため、損傷した血管を再生
する必要があります。このように、既存の血管から新たな血管枝が分岐して血
管網を構築することを血管新生といいます。また、生命の発生から個体を形成
していく過程で、既存の血管がないところに、新たな血管網が形成されること
を脈管形成といいます。
 血管新生には、「生理的な血管新生」と「病的な血管新生」があります。例え
ば、生理的な血管新生は胎児の血管形成時や体の成長時に、病的な血管新生は、
けがによる組織の修復時や網膜症による虚血、関節リウマチによる炎症、がん
細胞が増殖し続けるときなどにつくり出されます。がんについては、このしく
みを逆手にとって血管新生を阻害する抗がん剤として利用する方法があります。






<血管新生のしくみ>
 血管新生の形成には、いくつかの段階があります。まず、血管新生促進因子
が産生されることが血管新生形成の引き金となります。血管新生促進因子には、
血管の内側を覆う血管内皮細胞を増殖させ、血管形成を促す働きをもつものが
多く、その中でも最も強力な因子として知られているのが、血管内皮増殖因子
(VEGF)といわれるものです。
 血中のVEGFは、血管内皮細胞の受容体(VEGFR)に作用すると、血管内
皮細胞はマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)と呼ばれる物資を分泌しま
す。MMPは、血管の基底膜を分解することで、血管壁の細胞間の隙間を広げま
す。そこに内皮細胞が増殖することにより新しい管腔ができ、その周囲に周皮
細胞が発生することで安定した血管となります。




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(3)けがや病気に対する病理的再生 [健康]

(3)けがや病気に対する病理的再生



 けがや病気で失われた組織の修復を行うものを病理的再生といいます。ここ
では代表的な「骨」と「肝臓」についてみていきましょう。



<骨の再生>
 骨はとても硬く、一見単純な組織にみえますが、さまざまな細胞がかかわり、
常に新陳代謝が行われている活発な組織です。骨組織には、血管や神経があり、
さらに骨を支える筋肉も付随しています。また、関節に面する骨端は、関節軟
骨によって覆われていることで関節の可能性を高めています。
 この内部には骨髄というゼリー状のものがあります。この骨髄には、赤血球・
白血球などの血球系の元になる造血幹細胞と、筋肉細胞・線維芽細胞・骨芽細
胞などの元となる間葉系幹細胞があります。このように、骨は筋肉や血管、骨
髄などから構成されており、骨を再生するということは、これらの組織を含む
器官をつくるということにつながるといえます。





●骨折の再生は自然治癒の代表
 骨には、破骨細胞と骨芽細胞という2つの細胞があります。骨が常に新陳代
謝を繰り返し、新しい状態に保たれているのは、2つの細胞が協調して働いてい
る成果です。この働きを骨のリモデリングといいます。骨のリモデリングは、
骨吸収(骨を溶かす)と骨形成(骨をつくる)は繰り返されることによって成
り立っています。骨芽細胞は、骨髄の間葉系幹細胞から分化した細胞であり、
破骨細胞は赤血球の幹細胞である造血幹細胞から分化した細胞です。
 骨は非常に自然治癒力が高く、些細な骨折であれば骨芽細胞の働きによって
元の形に近い形に修復されます。この修復過程では、骨の血管からの出血によ
る血腫の形成後、折れた部分の骨膜には骨芽細胞が集まってきて増殖をはじめ
ます。やがて、骨芽細胞が網目状の仮骨と呼ばれる繊維組織をつくり、そこに
カルシウムが沈着して骨が徐々に固くなっていきます。仮骨は、破骨細胞の働
きによって不要な部分が吸収され、多くの場合は、元の骨の形に整えられてい
きます。骨折しても、元の形に戻して固定しておけば自然に再生するのは、こ
のようなしくみがあるためです。




<肝臓の再生>
 肝臓はほかの臓器に比べて、非常に高い再生力をもつことが知られています。
正常な肝臓の場合では、炎症によって壊死した細胞や切除によって失われた肝
臓を修復して元通りに再生させ、「代謝」「解毒」「貯蔵」「胆汁の生成・分泌」
という管増本来の機能を正常に戻すことができます。
 このように人間の内臓の中でも再生力のある肝臓ですが、その再生力には限
度があり、肝硬変や肝不全などの慢性的な肝疾患などの病気では、何度も幹細
胞の破壊と再生を繰り返す間に、組織が線維化を起こしてしまい、次第に幹細
胞の再生が難しくなってしまうといわれています。
 肝臓の再生力を維持するためにも、肝機能を正常に保ち、慢性的な肝疾患は
悪化させない、繰り返さないという日常生活での注意が大切です。






●肝臓の再生力を担う幹細胞
 肝臓は、なぜほかの組織にはない高い再生力があるのかは、現在のところ完
全には判明しておらず、盛んに研究が行われています。分かっている限りでは、
ほかの細胞にはない幹細胞独自の性質によるものといわれています。



・染色体説
 通常、細胞に含まれる染色体は46個ですが、幹細胞の中には、核を2つもち、
通常の2~3倍の染色体を備えた細胞も数多く存在します。そのために、肝臓は
ほかの臓器よりも早く細胞を増殖させて、再生することができるのではないか
といわれています。



・幹細胞の肥大化による再生説
 肝臓は、まず幹細胞の肥大によって再生し、肥大だけでは不十分である場合
にのみ分裂して、その数を増やすのではないかという説があります。このこと
から肝再生では幹細胞の肥大が重要であるということが確認されたとしていま
す。




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