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心の病気の治療は、薬物療法が基本である? [健康]

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心の病気の治療は、薬物療法が基本である?






 心の病気は、気持ちを不安定にさせます。その「不安定な気持ち」を「安定
した健康な状態」にまで治したい場合、薬物療法で改善できるものなのでしょ
うか?




「薬物療法」による心の病気の治療

 心の病気は「本人の努力、気の持ちようで治る」「時間がすべて解決する」な
どと思われがちです。 確かに、心の病気の原因であるストレスが取り除かれた
ことで症状が改善したり、時間が解決してくれることもあります。 しかし、ス
トレスの原因が不明だったり、 時間が経過しても症状がますます重くなってい
くこともあるため、薬物療法を行わなければ治らない場合もあるのです。

 心の病気の治療では、「向精神薬」といわれる薬を使い、精神症状の改善を図
ります。 向精神薬は心の病気の治療に用いられる薬の総称であり、脳の中枢神
経に働きかけて精神状態や行動に作用します。 よって、強い不安感、焦燥感、
恐怖心、強迫観念やうつ状態でつらいときには、症状を緩和・解消する効果が
あるため、心の病気の基本治療は「薬物療法」とされています。

 向精神薬は、主に精神科、精神神経科、神経科、メンタルへルス科、診療内
科などで用いられることがほとんどです。



心の病気・薬物療法に用いられる主な薬(向精神薬)

 向精神薬にはいくつかのグループがあり、大きく分けて抗うつ薬、抗不安薬、
抗精神病薬、気分安定薬、睡眠薬などに分けられます。



●抗うつ薬

 抗うつ薬は、憂うつで落ち込んだ気分を持ち上げ、意欲ややる気を起こさせ
る働きがあり、主にうつ病や躁うつ病などの気分障害に用いられます。また、
強迫性障害、パニック障害などにも有効とされます。

 うつ病の人では神経伝達物質のうち、精神を安定させる働きのある「セロト
ニン」や意欲を高める働きのある「ノルアドレナリン」の量が不足しているた
め、情報の伝達がうまくできなくなることが分かってきています。

 抗うつ薬は、神経細胞から放出された神経伝達物質が、神経細胞に再び取り
込まれること(再取り込み)を防ぎ、その量を増やします。そして、脳の情報
伝達を活発にすることで症状を改善していくのです。

 抗うつ薬は、大まかに「SSRI」「SNRI」「三環系抗うつ薬」「四環系抗うつ薬」
の4種類に分類され、「SSRI」はセロトニンの再取り込みを、ほかの薬はセロト
ニンとノルアドレナリンの両方の再取り込みを阻害します。


 最近では、副作用の少ないSSRIやSNRIが最初に処方されることが多くな
ってきましたが、服用をはじめたばかりの時期に「攻撃性・衝動性」「自殺念慮・
企図」「不眠」などの精神症状が強まります。 特に、小児期から24歳以下の若
年層にそのような症状が起きやすく注意が必要です。
 なお、一部の三環系抗うつ薬や四環系抗うつ薬は効果が高いものの、副作用
が起こりやすく量の調節が難しいとされています。また、服用したばかりの時
期は不安感や焦燥感が強まるので要注意です。




●抗不安薬(マイナートランキライザー)

 不安感、焦燥感、イライラを鎮め、緊張をやわらげます。中には、意欲低下
を改善する薬もあります。また、息苦しさや動悸、冷汗、震え、口の渇きなど
の自律神経症状の改善もします。不安障害や軽度のパニック症状をはじめ、さ
まざまな精神疾患に幅広く用いられますが、多くの用量を長時間服用すること
で依存を起こすことが知られています。


 また、自分勝手な判断で急に服用を中止すると、手足の震え、不眠、不安、
幻覚などの禁断症状が現れることもあります。基本的に専門医のもとで適切な
量と服用期間を守り、服用の中止や減薬するときも医師と相談しながら行って
いけば問題はありません。



●向精神薬(メジャートランキライザー)

 向精神薬は、脳内物質のドーパミンという物質が伝達される神経の働きを遮
断することで作用するものと考えられています。

 抗うつ薬では解消できない、幻覚や妄想など知覚や思考の異常、攻撃性を抑
えます。また、強い不安感や焦燥感にも用いることもあります。


●気分安定薬

 躁とうつの波のある躁うつ病の治療薬です。気分の波を安定化させる働きが
あり、繰り返して起こる躁状態とうつ状態を予防して、これらの状態を起こさ
なくする薬です。
 副作用に注意が必要な薬ですので、定期的に薬の血中濃度を調べながら治療
が行われます。


●睡眠薬

 心の病気を持つ人の多くは、睡眠障害(不眠)で悩んでいます。そのため、
睡眠薬は広く用いられます。睡眠を促すことで、脳と体の疲れを取ります。



薬物療法「副作用・依存性」と「目的」

 患者の中には、ストレスによる心身の不調を薬物療法で解決することに不安
や抵抗を感じる人も多いでしょう。薬物療法への不安を感じる理由として「副
作用・依存性がある」「気分の安定だけでなく、人格そのものが変わるようで怖
い」などが挙げられます。




●薬の「副作用」と「依存性」
 
 どんな薬でも、使用量に応じて効果がありますが、量が増えるに従って副作
用も起こりやすくなります。よって、処方する際には薬の効果と副作用のバラ
ンスをみながら慎重に決めていきます。
 薬の依存性についても、医師から指示された機関や量を守って、正しく服用
していれば、依存や中毒になるようなことはありません。薬を服用していく上
での不安や疑問があれば自己判断せずに医師や薬剤師に相談することが大切で
す。



●薬物療法の目的

 心の病気の治療として処方される向精神薬は、人格を変えることはありませ
ん。本来その人が持つ健康な心身の状態へと近づけるための手助けをする薬で
す。



薬物療法の偏重を見直す動き

 現在、心の病気の薬物療法の偏重に対して見直す動きがあります。心の病気
の治療基本は薬物療法ですが、一時的な軽い気分の落ち込みを訴えてくる人に
も短い診療時間で安易に薬の処方がされているのではないかといった問題があ
ります。保険診療多くの出患者を診察するには時間がかかる精神療法ではなく、
どうしても時間がかからない薬物療法への偏重がみられます。

 一時的な軽い気分の落ち込みや軽傷のうつ病の人には、薬物療法でなくても
「病気について理解してもらう」「患者の悩みや相談を聞いて心に添ったカウン
セリングやアドバイスを行う」「ストレスとなる原因を除くよう環境調整する」
だけでも症状が改善する場合があるといわれています。



A:ホント



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