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(3)けがや病気に対する病理的再生 [健康]

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(3)けがや病気に対する病理的再生



 けがや病気で失われた組織の修復を行うものを病理的再生といいます。ここ
では代表的な「骨」と「肝臓」についてみていきましょう。



<骨の再生>
 骨はとても硬く、一見単純な組織にみえますが、さまざまな細胞がかかわり、
常に新陳代謝が行われている活発な組織です。骨組織には、血管や神経があり、
さらに骨を支える筋肉も付随しています。また、関節に面する骨端は、関節軟
骨によって覆われていることで関節の可能性を高めています。
 この内部には骨髄というゼリー状のものがあります。この骨髄には、赤血球・
白血球などの血球系の元になる造血幹細胞と、筋肉細胞・線維芽細胞・骨芽細
胞などの元となる間葉系幹細胞があります。このように、骨は筋肉や血管、骨
髄などから構成されており、骨を再生するということは、これらの組織を含む
器官をつくるということにつながるといえます。





●骨折の再生は自然治癒の代表
 骨には、破骨細胞と骨芽細胞という2つの細胞があります。骨が常に新陳代
謝を繰り返し、新しい状態に保たれているのは、2つの細胞が協調して働いてい
る成果です。この働きを骨のリモデリングといいます。骨のリモデリングは、
骨吸収(骨を溶かす)と骨形成(骨をつくる)は繰り返されることによって成
り立っています。骨芽細胞は、骨髄の間葉系幹細胞から分化した細胞であり、
破骨細胞は赤血球の幹細胞である造血幹細胞から分化した細胞です。
 骨は非常に自然治癒力が高く、些細な骨折であれば骨芽細胞の働きによって
元の形に近い形に修復されます。この修復過程では、骨の血管からの出血によ
る血腫の形成後、折れた部分の骨膜には骨芽細胞が集まってきて増殖をはじめ
ます。やがて、骨芽細胞が網目状の仮骨と呼ばれる繊維組織をつくり、そこに
カルシウムが沈着して骨が徐々に固くなっていきます。仮骨は、破骨細胞の働
きによって不要な部分が吸収され、多くの場合は、元の骨の形に整えられてい
きます。骨折しても、元の形に戻して固定しておけば自然に再生するのは、こ
のようなしくみがあるためです。




<肝臓の再生>
 肝臓はほかの臓器に比べて、非常に高い再生力をもつことが知られています。
正常な肝臓の場合では、炎症によって壊死した細胞や切除によって失われた肝
臓を修復して元通りに再生させ、「代謝」「解毒」「貯蔵」「胆汁の生成・分泌」
という管増本来の機能を正常に戻すことができます。
 このように人間の内臓の中でも再生力のある肝臓ですが、その再生力には限
度があり、肝硬変や肝不全などの慢性的な肝疾患などの病気では、何度も幹細
胞の破壊と再生を繰り返す間に、組織が線維化を起こしてしまい、次第に幹細
胞の再生が難しくなってしまうといわれています。
 肝臓の再生力を維持するためにも、肝機能を正常に保ち、慢性的な肝疾患は
悪化させない、繰り返さないという日常生活での注意が大切です。






●肝臓の再生力を担う幹細胞
 肝臓は、なぜほかの組織にはない高い再生力があるのかは、現在のところ完
全には判明しておらず、盛んに研究が行われています。分かっている限りでは、
ほかの細胞にはない幹細胞独自の性質によるものといわれています。



・染色体説
 通常、細胞に含まれる染色体は46個ですが、幹細胞の中には、核を2つもち、
通常の2~3倍の染色体を備えた細胞も数多く存在します。そのために、肝臓は
ほかの臓器よりも早く細胞を増殖させて、再生することができるのではないか
といわれています。



・幹細胞の肥大化による再生説
 肝臓は、まず幹細胞の肥大によって再生し、肥大だけでは不十分である場合
にのみ分裂して、その数を増やすのではないかという説があります。このこと
から肝再生では幹細胞の肥大が重要であるということが確認されたとしていま
す。






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