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1.「五感は生きる力」(3)五感は脳科学で生まれる [健康]

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(3)五感は脳科学で生まれる



 五感を感じ取るためには、脳との複雑なしくみを持ちます。五感の科学は、
脳の科学です。大脳の表面部には、さまざまな神経細胞が集まる「大脳皮質」
が存在します。この大脳皮質が五感のうち、視覚、聴覚、味覚、触覚を司って
います。嗅覚は、大脳皮質のさらに内側に存在する「大脳辺縁系」が司ってい
ます。ここは、快・不快や食欲など人間の本能に関係する部分です。
 大脳皮質は前頭葉、頭頂葉、側頭葉という4つの部位に分けられて
おり、その中の一部に感覚を受け取る領域があります。視覚は後頭葉の後方端、
聴覚は側頭葉の両側上部、触覚は頭頂葉の前方広範囲(体制感覚野と呼ばれる
部分)、味覚は頭頂葉の前方下部の奥で受け取ります。


 五感は、それぞれ目、耳、鼻、舌、皮膚が受け取る感覚です。そして、刺激
を受け取る場所(器官)のことを「感覚器官」といいます。感覚器官には、刺
激に反応する特別な組織や感覚があり、刺激に応じて電気信号を発します。発
生した信号は、全身に張り巡らされている神経を伝わって脳の担当領域に届き、
情報処理され「明るい」「冷たい」などという外界の様子を知ることができてい
ます。

 つまり、感覚とは、感覚器官と神経、脳が連携して初めて生み出されている
のです。



<感覚器官と脳をつなげる神経>
 私たちの体には、神経系と呼ばれる全身に張り巡らされた神経で構成される
情報ネットワークがあります。外部の刺激を受け取って脳に伝える役割はもち
ろん、脳から体の各部分を動かす指令や、意識せずに行われる内臓などのコン
トロールも、この神経系を介して行われています。神経系は大きく「中枢神経」
「末梢神経」に分けることができます。



●中枢神経
 中枢神経とは、脳と脊髄のことを指します。中枢神経はいわゆる制御室で、
感覚器官からの電気信号を受け取って感覚を発生させ、それをもとに外界を認
知します。また、得られた情報をもとに体の各部に指令を出したり、体内の状
態を把握して各器官を制御しています。



●末梢神経
 手や足などの体の各部や、心臓や肺などの臓器にも神経があり、中枢神経以
外のこれらの神経をまとめて末梢神経と呼びます。末梢神経は、それがどのよ
うな種類の情報を伝えるかにより、「体性神経系」と「自律神経系」に分けられ
ます。

 体性神経系は、感覚を伝えたり自分の意思で体を動かすための神経で、感覚
器官からの信号を受け取って伝達したり、中枢神経からの運動の指令を各部に
伝えるなどの働きをします。そして、自律神経系は、体の内部状態についての
信号をやりとりする神経であり、心拍や呼吸をはじめとした内臓の動きの調整
をしています。



 感覚器にかかわる信号の多くは脳で処理されていますが、脳を通らずに脊髄
だけで処理される場合もあります。例えば、熱いやかんに触って思わず手を引
っ込めるような場合、感覚器官からの刺激は脊髄に伝わった段階で、末梢神経
を経て筋肉を動かす指令が出ます。このような脳を経由しない生体の反応を「脊
髄反射」と呼びます。




コラム:幼少期の習い事は、五感や体を成長させる?


 五感は、脳の発達に大変重要な役割を果たしているといわれています。人間
の脳は、誕生してから3歳ぐらいまでの間に急速に発達しますが、この時期に
五感をはじめとした感覚が遮られると、発育に大きな影響があることが分かっ
ています。例えば、視覚障害のある赤ちゃんは、周囲で話している人の口元を
見ることができないため、発声や会話の習得が平均よりも遅れ、表情の変化も
乏しくなりがちであるとされます。唇など発声に必要な器官を制御する能力も
発達しにくくなるのです。

 また、脳の情報処理で使われる神経回路は、頻繁に使っていると信号が通り
やすくなり、逆に使わないと通りにくくなる傾向にあります。間隔を発生させ
るための神経回路も、幼少期からその感覚を使っていると敏感になり、使わな
いと発達が遅れる可能性があるというわけです。私たちは、感覚に基づいて体
の各部を動かしているため、感覚がアウル程度以上に発達しないと、体をうまく
使いこなすことができません。スポーツや音楽などを幼少期に倣うのは、この
ような感覚と体の使い方を早いうちから成熟させる狙いもあるのです。





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