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3.「色・明るさ」による心理的効果 [健康]

 視覚情報として、心理的・生理的効果をもたらすものに「色」と「明るさ」
があります。毎日の生活の中で、私たちは色や明るさからどのような影響を受
けているのでしょうか。






(1)物体に「色」はない?


 「色」は、形や質感のように、その物体についているように見えますが、実
は、物体自体に色はついていないのです。では、ついていないのであれば、色
は一体どこにあるのかというと、そのはじまりは、光です。光の中に、色は存
在しています。

 太陽や蛍光灯のように自ら光を発するものを「光源」と呼びます。光源であ
る太陽や蛍光灯の光は、白い光に見えますが、実は、その「白」は、人間が目
にすることができる赤・緑・青の三色の光が均等に混ざり合うことで生まれて
います。これを「光の三原色」と呼びます。この白い光の中に、私たちが感じ
とることができる色、全てが含まれているのです。

 そして、光源の光が物体に当たると、その物体が持つ特徴に従って、光の吸
収と反射が起こります。物体に吸収された波長光はみることができませんが、
反射された波長光は、目に入り視細胞を刺激することで、その信号が脳に伝わ
り、物体の色として感じられます。例えば、ある物体が500~600nmの中波長
光(緑に見える光)と400~500nmの短波長光(青く見える光)は吸収し、600
~700nmの長波長光(赤く見える光)を反射した場合、その物体は「赤色」に
見えるという訳です。このように、色は、光、物体、人間の目と脳の反応があ
ってはじめて感じることができるのです。




<季節を感じる葉の色の変化>
 新緑の季節には、鮮やかな緑であった草木の色も、季節の移り変わりと
ともに黄色く色が変化し、枯れ果てていきます。一年の中で私たちに四季を感
じさせてくれる植物の色の変化は、一体どのようにして起こるのでしょうか。
 芽生えたばかりの葉には、光合成を行う葉緑体に含まれるクロロフィルとい
う色素が多く存在し、長波長光(赤)と短波長光(青)を吸収し、中波長光(緑)
を反射することで緑に見えていました。しかし、黄色く色づくころには、葉は
寿命を迎え、クロロフィルが減少し、カロテノイドというほかの色素の働きが
目立つようになります。カロテノイドにより、短波長光(青)のみ吸収され、
長波長光(赤)と中波長光(緑)を反射するようになり、結果、黄色く見える
ようになるのです。カロテノイドはもともと存在していますが、クロロフィル
の量に比べて少ないため、クロロフィルが減少することでその存在が前面に出
てくるようになります。

 また、植物のよっては、紅葉するものもあります。これは、秋になるとアン
トシアニンと呼ばれる色素が葉の内部につくられるためです。アントシアニン
は、短波長光(青)と中波長光(緑)を吸収し、長波長光(赤)を反射するた
め、葉が赤く染まっているのです。


 私たちは色を感じ取る色覚を持つことで、緑の葉が生い茂る中、熱して赤く
なった食べころの実を発見し、命をつなぐことができます。そして、自然の四
季の変化を感じ取れることが心の癒しとなるのです。色覚が人生に彩りを与え
ていることは間違いなさそうです。
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