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4.脳における「補完能力」と「錯覚」 (1)見えないものが見える?脳の補完能力 [健康]

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 網膜に結ばれた像の情報は、視神経を通じて、脳の後方にある視覚野へ送ら
れますが、視覚が生じるメカニズムは、必ずしも網膜の働きだけでは説明でき
ません。それを示す具体例が「網膜の充填」という現象です。

 視神経が束になり、眼球から出て行く円形の部分を「視神経乳頭」と呼びま
すが、視神経乳頭には視細胞が存在しないため、光を感じ取ることができませ
ん。そのため、視神経乳頭に対応する視野の一部は欠落を起こします。そこが
盲点です。しかし、片方の目の盲点は、もう片方の目の視野に含まれているた
め、両目で見ている場合、盲点に気付くことはありません。それどころか、片
目をつぶっていても視野に欠落は見当たらず、盲点であるはずの部分にも、し
っかりと周囲の色や模様が見えています。これが、盲点の充填です。脳の持つ
「補完能力」により補われているのです。ただし、ある一定の場所では盲点を
確認することが可能です。下記の方法で、盲点の存在を確認してみましょう。






▼盲点の位置の確認方法



 左目を隠し、右目だけで「+」を見ます。少しずつ且つゆっくりと、下記の
図との距離を近くしていきます。すると横の「●」が見えなくなる位置があり
ます。そこが右目の盲点です。次は図を反転させて同じ方法で行えば、左目で
も同様に盲点の位置を確認することができます。



  「盲点」の位置を探してみよう

 <右目用>
 

    +     ●






視覚野は、大脳皮質の後頭葉に存在しています。さら
に、第一次視覚野、第二次視覚野と分かれます。網膜からの光は、まず、第一
次視覚野へ届き、形や大きさなど、単純な特徴が抽出されると考えられていま
す。第一次視覚野で抽出された情報は、次に第二次視覚野へと送られ、さらに
高次の視覚野で処理が進み、物体の認知が行われます。

 このうち、補完能力を持つのは第一次視覚野です。盲点の充填では、視神経
乳頭の周囲の網膜から、信号が加えて送られ、視野を埋めていることが分かっ
ています。

 さらに、近年の研究により、第一次視覚野では、欠損した視覚像がまるで絵
を描くように補完され、物体の全体像が再構成されることも明らかになってい
ます。この現象は、観察者が事前に見ていた物体の形を反映し、補完が必要で
ないと判断される場合には生じません。事前に得ていた物体に対する知識によ
って、補完活動は変化するのです。

 普段目にする情景の中でも、山々や都会の立ち並ぶビルを見て、その物体が
山であり、ビルであると一つ一つ判断することができるのは、こうした補完活
動が脳で行われているためだといわれています。





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