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4.触覚を使ったケア (1)触れることが育む心 [健康]






1.嗅覚のメカニズム (5)においを認識する経緯





 人は、この世に誕生したときには授乳などを通して母親の皮膚と触れ合い、
その後もうれしいときや悲しい時には腕に抱かれ、そして、怪我をしたときに
は優しく撫でてもらうなどろいった経験をしながら成長していきます。このよ
うに、成長過程で触れるという行為は、ありとあらゆる場面で繰り広げられて
います。人に触れるための道具が手であり、そして、手を当てることから看護
が始まりました。ここでは、降れるケアが心身に与える影響についてみていき
ましょう。



(1)触れることが育む心


 人の受精卵は、受精後10週を過ぎるころには、脊髄の神経細胞が手足の先に
まで伸び、18週を過ぎると脳の体性感覚野につながり、触覚がうまれていると
考えられています。このころから、胎児は指しゃぶりを始めます。それは、セ
ルフタッチの原型ともいえる行為で、体の感覚によって自らの体を知る行為で
す。

 さらに、生後2ヵ月を過ぎるころから、体のさまざまな部位を触って探索す
るようになります。仰向けになって足を触ったり、足を口に入れたりすること
もあります。特定の指を舐めることで、それまで1つの塊として感じていた指
の感覚が分離し、それを思いのままに動かせるようになることを促進します。

 そのようにして、何かに触れるとさまざまな感覚が生まれます。それらは、
単純な生理的レベルで感じられるものから、複雑な心理的影響を受けるものま
で多彩です。特に、心理的な影響が大きい「痛み」「くすぐったさ」「気持ちよ
さ」の3つは、心を育むために極めて大切な感覚だといえます。

 これらの皮膚感覚は、ある程度は生まれつき備わっていて、感情と直結して
本能的な行動を生み出します。例えば、痛みは、危険を察知し他人の痛みに共
感するために必要な感覚です。また、くすぐったさや他人に触れる気持ちよさ
は、幼少期の親子のスキンシップなどで形成されます。幼少期のみならず、将
来の対人関係や、心の健康にも影響を与えていることが研究で分かってきまし
た。
 また、健常群と心療内科の外来患者(抑うつや不安の高い患者)群とで、子
どものころに親からどの程度のスキンシップをされていたかを比較した調査で
は、心療内科の患者は健常者よりもスキンシップが少なかったということが分
かっています。このように、子どものころに両親とどれだけスキンシップした
かは、意識していなくても、将来に渡ってその人の心に影響を及ぼし続けると
いえます。



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