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2.「味わう」という能力の不思議 (2)基本味以外の味 [健康]






 食べ物を食べたときの感覚には、5つの基本味以外にも、トウガラシやワサビ
を食べたときの辛味や、渋柿や赤ワインを飲んだときの渋味、炭酸飲料を飲ん
だ時の刺激感、コクなどがあります。味覚の定義を、「口腔粘膜に存在する味蕾
の中の味細胞が刺激され、その情報が味神経を介して脳に送られ、味覚野とい
われる場所で情報処理されて生じる感覚」とすると、辛味や渋味などは口腔内
の触覚、温覚、冷覚、痛覚などの感覚によるものとなります。これらの「味」
とはみなされていない感覚の不思議についてみていきましょう。


●辛味
 辛味は基本味とは異なり、三叉神経によって伝えられる感覚です。三叉神経
は、痛覚や温覚を伝える神経です。この三叉神経に、トウガラシに含まれるカ
プサイシンなどの辛味物質の受容体があるといわれています。この受容体は、
本来温度のセンサーとして働きますが、辛味物質とも結合します。そして、そ
の情報が脳へ伝えられ、辛味として認識されます。トウガラシの辛さは口に入
れてから、一瞬の間を置いた後感じます。これは、カプサイシンが下の表面か
ら内部に浸透し、三叉神経に到達するまでに若干時間が掛かるためです。辛味
を認識するころには、カプサイシンは下の内部に浸透しているため、口をゆす
いでも辛味が消えないのはこうした理由によるものです。

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●渋味
 渋味は、緑茶や渋柿に含まれるカテキンやタンニンなどの苦味物質が口腔の
粘膜を収縮させたときに感じる触覚の異常であるといわれています。縮められ
たような感覚を伴うことから、「収斂味」と呼ばれることもあります。渋味の
メカニズムは未だに解明されていませんが、辛味と同様に触覚に近い感覚であ
ると考えられています。



●コク
 「コクがある」と表現される食材や料理は数多くあります。生クリームやチ
ーズなどの乳製品、カレーやシチューなどの煮込み料理、牛肉やマグロのトロ
などの動物性脂肪、さらに、ワインやビール、コーヒーなどの飲み物にも「コ
ク」という表現はよく使われています。コクについての定義は不明瞭ですが、
コクを生じさせる条件として、食品の素材の熟成、発酵、加熱処理などにより
食品に含まれる多くの味物質や香り成分がつくり出され、その複雑な成分が味
蕾を中心とした口の粘膜の受容体を刺激し、それらの情報が脳に送られること
でコクウィ認識します。つまり、「味(基本味)・香り・食感」がバランスよく合
わさることでコクがあるという感覚が生まれます。





●アルコール
 日本酒やビール、ワイン、焼酎など、これらのアルコール飲料に共通して含
まれているのが、アちるアルコールという物質です。味細胞には、アルコール
だけに結合する受容体はありませんが、アルコールは基本味のうち、甘味や苦
味の受容体を刺激するといわれています。このため味の質としては、やや甘く
ほのかに苦いという感覚になります。



●メントール
 ミント味の飴やガムなどを食べると、ミントの味と共に冷たい感じを受けま
す。実はメントールそのものが冷たさを与えているわけではなく、メントール
の受容体が冷感を感知することで冷たく感じるのです。




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