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1.嗅覚のメカニズム (2)においの正体は空気中を漂う微量分子 [健康]






睡眠が大切「記憶力」



 においとは、物体や生物から周囲に発散され、嗅覚器を通じて知覚される微
量分子による特別な刺激のことです。その中で、私たちに快い感覚を与える場
合には香り、芳香、香気と呼び、不快感を与える場合には臭さ、臭気、悪臭な
どと呼んで区別しています。
 物体のにおいは、物体が表面から分子を揮発させていることにより感じます。
分子は小さいほど揮発しやすくなるため、大きすぎる分子はにおいを発してい
ません。つまり、におい物質は分子量が小さく、揮発した気体である必要があ
ります。そして、呼吸によって空気と一緒に小さな分子だけが鼻腔に入り、鼻
粘膜を刺激します。
 さらに、におい物質になるためには、鼻粘膜に達した後、鼻腔上部に位置す
る嗅上皮表面の粘膜に溶け込むために水溶性の性質であり、かつ嗅細粘膜の脂
質でできた膜を通過するために、脂溶性の性質も備えている必要があります。





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1.嗅覚のメカニズム (1)嗅覚を司る鼻の構造 [健康]







子宮の「伸縮力」 母体と胎児の変化



 私たちは外界からのさまざまな情報を、五感を使って感じています。その中
でも嗅覚は、においを感じて危険を察知したり、においを頼りに記憶を呼び起
こすばかりでなく、においによってリフレッシュしたり、集中力を高めたりと
いうように、感情にも影響を与えています。

 嗅覚に影響を与える「におい」は、日本人と古くから深い関係があります。
においは、「丹秀ひ」が語源であり、「丹」という字は、本来、赤い色を意味し、
視覚でとらえられる色彩を表していました。「いろはにほへと」や万葉集の「黄葉
のにほひは茂し」などは、美しく鮮やかな色合いの視覚的な意味を表すもので
した。

 古くから日本文化と深くかかわってきた「におい」や「嗅覚」の働きとしくみ、
それらに関連する生活上の疑問などについて学んでいきましょう。





(1)嗅覚を司る鼻の構造


 嗅覚を理解するために、まずは鼻の外部構造から確認していきましょう。鼻
の外から見える全体の部分を外鼻といいます。目と目の間を鼻根、そこから伸
びる鼻筋を鼻梁、鼻の頭の部分を鼻尖といいます。鼻尖の途中までは中に鼻骨
があり、その先の部分には軟骨があります。

 次に、鼻の内部構造をみていきましょう。鼻の2つの孔の入り口を外鼻孔と
いいます。外鼻孔から、入ってすぐの鼻毛が生えている部分を鼻前庭といいま
す。鼻の入り口から奥までの空間を鼻腔、それを隔てている真ん中の壁を鼻中隔
といいます。鼻腔の両側の壁には、外側から上鼻甲介・中鼻甲介・下鼻甲介と
いう3つの突起が張り出し、表面積を広げています。左右の鼻腔は奥でひとつ
になり咽頭につながっています。

 鼻前庭より奥は粘膜で覆われており、粘膜は外から入ってくる空気を加温・
加湿しているため、鼻腔の空気の温度は25~37度、湿度は35~80%になって
います。鼻中隔の粘膜には血管が豊富に分布しており、これをキーセルバッハ
部位といい、特にこの部分が空気の加温・加湿を担っています。

 また、粘膜表面には絨毛があり、異物が入ってくる鼻水やくしゃみなどで
異物を外に出します。鼻は呼吸を司る重要な器官であり、空気の出入り口であ
るため、空気に含まれるウイルスや花粉などの異物を排除し、肺に負担がかか
らないようにする役割を果たしています。



 そして、鼻のもう一つ重要な役割が、今回のテーマである「嗅覚」という感
覚器としての役割です。この後詳しくみていきましょう。




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2.「味わう」という能力の不思議 (4)温度と味覚の関係 [健康]







2.「味わう」という能力の不思議 (3)脳がだまされる?!味覚を変える物質の不思議



 溶けてしまったアイスは、凍っていたときより甘く感じたり、熱いスープが
冷めたとき味が濃くなったように感じることがあります。
 これは、味細胞内で味の情報を伝えるタンパク質である酵素が、体温ぐらい
の温度のときにもっともよく働くためです。味細胞が食べた物によって低温や
高音の環境になると、酵素の働きが一時的に弱くなり、味を感知する働きが鈍
くなります。高温の食べ物や、低温の食べ物は、この効果を踏まえて強めに味
付けされています。そのため、時間がたって、これらの食べ物が常温になって
しまうと、味細胞の酵素の働きが強まり、味が濃くなったように感じられます。

 人間は一般的に、体温±25~35℃の食べ物を好み、おいしさを感じやすいと
されています。つまり、温かい物は60~70℃前後、冷たい物であれば0~10℃
前後でよりおいしさを感じます。

 また、温度の影響によって変化しやすい味、温度による影響を受けにくい味
があります。変化しやすいのは甘味・旨味・苦味の3種類、変化しにくいのは
塩味・酸味の2種類です。例えば、温かいみそ汁は、うま味が強く塩味もそこ
そこ感じられておしく感じますが、冷めるとうま味の強度は低下します。と
ころが、塩味は温度に影響を受けず、ほとんど変化がないので塩味が際立って
しまい美味しさを感じにくくなります。





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2.「味わう」という能力の不思議 (3)脳がだまされる?!味覚を変える物質の不思議 [健康]




 ある物質を食べたことによる影響で、別の食べ物の本来の味が弱くなったり、
別の味に変化することがあります。このような、味覚を変える物質を「味覚修飾
物質」といいます。これは、味物質の構造を変えるのではなく、味細胞の受
容体に作用して、一時的に味覚機能を変える働きをします。このような味覚修
飾物質の不思議についてみていきましょう。



2.「味わう」という能力の不思議 (2)基本味以外の味






<酸味を甘味に変える物質:ミラクリン>
 酸っぱいはずのレモンを口に含んだらオレンジのように甘くなったり、お酢
をなめたら砂糖水のように甘くなったりするように、味覚をだます木の実があ
ります。この木の実の果肉を噛み潰し2~3分間口の中に含むと、レモンやお酢、
梅干しなどの本来酸っぱく感じるはずのものが甘い味に変わってしまいます。
このように奇跡ともいえるような働きをすることから、この木の実はミラクル
フルーツと呼ばれています。

 ミラクルフルーツが酸味を甘味に変えるメカニズムには、「ミラクリン」とい
うタンパク質が重要な働きをします。ミラクリンは酸味を甘味に変化させるの
ではなく、舌が酸味を甘味として認識させさる作用をします。

 味覚は、舌にある味蕾の味細胞によって感じ取ります。味蕾には、それぞれ
の味覚を感じる受容体があり、通常酸味は、酸味を感じる受容体に結合するの
ですが、酸味の物質(H⁺:水素イオン)が口の中でミラクリンと結合すると、
物質の形が変わり、強制的に酸味の物質を甘味受容体に結合させるようになり
ます。これにより、脳に甘いという刺激が伝達され、酸っぱい物を甘いと感じ
るといわれています。
 ただし、ミラクリンは酸味を感じる受容体を塞いだり、麻痺させるものでは
ないため、多少の酸味は感じます。また、味の感じ方を変化させているだけの
物なので、食べた物の成分が変わるわけではありません。このことから、酸っ
ぱい物を食べ過ぎると胃を悪くしたりするので気を付ける必要があります。






<甘味を抑える物質:ギムネマ酸>
 甘味をしばらく抑える健康茶として販売されているお茶に、「ギムネマ茶」と
いう物があります。これに含まれるギムネマ酸が小腸の粘膜からの糖の吸収を
妨げる働きをするため、糖分を摂取してもエネルギーにならず、血糖も上昇し
ないのでダイエットや糖尿病に有効であるといわれています。

 このギムネマ茶を30秒から1分程度口の中に含んだままにすると、そのあと
しばらくの間、甘味が全く感じられないという不思議な現象が起こります。こ
れは、ギムネマ茶に含まれるギムネマ酸が口腔内の味細胞に存在する甘味受容
体に強く結合し、糖などの甘味物質の結合を阻害することにより起こります。

ギムネマ酸は、砂糖などのさまざまな甘味は一様に阻害しますが、そのほかの
味には影響を及ぼしません。





<オレンジジュースをまずくする物質:ラウレス硫酸ナトリウム>
 歯磨きをした後にオレンジジュースを飲むとまずく感じることがあります。
これは、歯磨き粉に含まれるラウレス硫酸ナトリウムという界面活性剤の作用
によるものです。ラウレス硫酸ナトリウムは、歯磨き粉の泡立ちをよくしたり、
爽快感を感じやすくしたりするために、ほとんどの歯磨き粉に使用されていま
す。


 このラウレス硫酸ナトリウムは荷が無を増長し、甘味を感じにくくするという
特徴があります。つまり、歯磨き粉を使って磨いた後は、甘味や酸味がや
や弱まるとともに苦味が強くなるため、本来のジュースのアジト異なるまずい味
に変化してしまうのです。




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2.「味わう」という能力の不思議 (2)基本味以外の味 [健康]






 食べ物を食べたときの感覚には、5つの基本味以外にも、トウガラシやワサビ
を食べたときの辛味や、渋柿や赤ワインを飲んだときの渋味、炭酸飲料を飲ん
だ時の刺激感、コクなどがあります。味覚の定義を、「口腔粘膜に存在する味蕾
の中の味細胞が刺激され、その情報が味神経を介して脳に送られ、味覚野とい
われる場所で情報処理されて生じる感覚」とすると、辛味や渋味などは口腔内
の触覚、温覚、冷覚、痛覚などの感覚によるものとなります。これらの「味」
とはみなされていない感覚の不思議についてみていきましょう。


●辛味
 辛味は基本味とは異なり、三叉神経によって伝えられる感覚です。三叉神経
は、痛覚や温覚を伝える神経です。この三叉神経に、トウガラシに含まれるカ
プサイシンなどの辛味物質の受容体があるといわれています。この受容体は、
本来温度のセンサーとして働きますが、辛味物質とも結合します。そして、そ
の情報が脳へ伝えられ、辛味として認識されます。トウガラシの辛さは口に入
れてから、一瞬の間を置いた後感じます。これは、カプサイシンが下の表面か
ら内部に浸透し、三叉神経に到達するまでに若干時間が掛かるためです。辛味
を認識するころには、カプサイシンは下の内部に浸透しているため、口をゆす
いでも辛味が消えないのはこうした理由によるものです。

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●渋味
 渋味は、緑茶や渋柿に含まれるカテキンやタンニンなどの苦味物質が口腔の
粘膜を収縮させたときに感じる触覚の異常であるといわれています。縮められ
たような感覚を伴うことから、「収斂味」と呼ばれることもあります。渋味の
メカニズムは未だに解明されていませんが、辛味と同様に触覚に近い感覚であ
ると考えられています。



●コク
 「コクがある」と表現される食材や料理は数多くあります。生クリームやチ
ーズなどの乳製品、カレーやシチューなどの煮込み料理、牛肉やマグロのトロ
などの動物性脂肪、さらに、ワインやビール、コーヒーなどの飲み物にも「コ
ク」という表現はよく使われています。コクについての定義は不明瞭ですが、
コクを生じさせる条件として、食品の素材の熟成、発酵、加熱処理などにより
食品に含まれる多くの味物質や香り成分がつくり出され、その複雑な成分が味
蕾を中心とした口の粘膜の受容体を刺激し、それらの情報が脳に送られること
でコクウィ認識します。つまり、「味(基本味)・香り・食感」がバランスよく合
わさることでコクがあるという感覚が生まれます。





●アルコール
 日本酒やビール、ワイン、焼酎など、これらのアルコール飲料に共通して含
まれているのが、アちるアルコールという物質です。味細胞には、アルコール
だけに結合する受容体はありませんが、アルコールは基本味のうち、甘味や苦
味の受容体を刺激するといわれています。このため味の質としては、やや甘く
ほのかに苦いという感覚になります。



●メントール
 ミント味の飴やガムなどを食べると、ミントの味と共に冷たい感じを受けま
す。実はメントールそのものが冷たさを与えているわけではなく、メントール
の受容体が冷感を感知することで冷たく感じるのです。




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2.「味わう」という能力の不思議 (1)「五味」にも役割がある? [健康]




 私たちが食べ物を食べたときに感じる「おいしさ」「味」は、味蕾で感じる基
本味をはじめ、ほかにもさまざまな要素が合わさって感知されます。ここから
は、食べたときに起こる味覚の不思議についてみていきましょう。



(1)「五味」にも役割がある?

 私たちが感じる味には5つの基本的な種類があります。それは、甘味、うま
味、塩味、酸味、苦味です。これらの味は、それぞれ重要な役割を担っていま
す。






①甘味
 甘味を感じているときは、体に必要なエネルギー源を摂取しているという信
号を送っていると体は解釈します。
 体にとって重要なエネルギー源となる食べ物は、糖質です。そして、直接エ
ネルギーとなるものはブドウ糖(グルコース)であり、これが血液中に入ると
血糖となります。エネルギー源は常に体が必要としているため、体はこのよう
な物質を味わったときは、おいしいという快感を生じることによって摂取を促
進します。こうしたしくみは、もともと遺伝子情報に組み込まれているので、
生まれてすぐの赤ちゃんの口に砂糖溶液を入れることにこやかな表情とともにそ
れを摂取しようとすることも知られています。

 ただし、私たちが甘味を感じるものが、必ずしもエネルギー源になるものと
は限りません。例えば、人工甘味料として利用される「アスパルテーム」は砂
糖の約200倍の甘さを感じるといわれていますが、ほとんど消化することがで
きないため、エネルギー源になりません。






②うま味
 うま味は、主にアミノ酸であるグルタミン酸やアスパラギン酸、核酸を構成
する物質であるイノシン酸、グアニル酸、キサンチル酸などの分子を検出しま
す。これらの分子は肉や魚のタンパク質に多く含まれているため、うま味を感
じることでタンパク質を摂取しているという情報を脳へ伝えます。また、うま
味の感覚によって生命活動に必要なタンパク質と糖質を識別しているといわれ
ています。





③塩味
 塩味はナトリウムイオンを感知することで感じられます。私たちの体は一定
量のミネラルを必要とするので、食べた物の中に適度な濃度の塩分を含むかど
うかを感知しています。また、体液の塩分濃度に等しい1%前後の食べ物は、強
い快感を感じるといわれています。





④酸味
 酸味は、本来私たちにとって有害な分子を検出し、警告する役割を担う感覚
です。この酸味は、水素イオンを感知することで感じられます。食品が微生物
によって分解され、その過程で酸の分子がつくられることにより酸味が生じま
す。





⑤苦味
 苦味も酸味と同様に、私たちにとって有害な分子を検出し、体にとって毒物
であるという警告をする役割を担う感覚です。

 自然界には、植物に含まれるアルカロイド類などの苦みのあるものが多く、
猛毒として知られるストリキニーネなどがあります。苦味を感じる細胞は、そ
れらの物質に含まれる毒分子の検出を一手に引き受け、どの分子を検出したと
きも「苦い」という信号を脳へ送ります。しかし、人類は味覚によって危険な
食べ物を感知しながら、こうした経験と知識によって毒物を避けるように進化
した。その例として、コーヒーに含まれるカフェインやお茶に含まれるカテキ
ンなどのさまざまな苦味成分があります。





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1.「味覚のメカニズム」 (3)「味覚とおいしさ」を感じる脳のしくみ [健康]




 口の中に取り込まれた食べ物が、味物質やイオンの形で味蕾内に味細胞にあ
る受容体に結合すると、その情報が神経を介して脳に伝えられて、味の質や強
さの分析が行われます。また、それに連動して「おいしい」や「まずい」など
の感覚もこの時に判断されます。このような味神経を介する情報が、脳内を通
過する経路を「味覚伝導路」といいます。



<味蕾から脳への経路>
 味細胞で味物質を感知すると、そこから得た情報は、味覚神経である顔面神
経、舌咽神経、迷走神経を通って伝導されます。その後、脳幹下部にある「延髄」
の「孤束核」という部位に伝わり、塩味や甘味などの味の情報が引き継がれま
す。その後、脳幹上部にある視床を経て、大脳皮質の一次味覚野に送られ、そ
こで味の強さや質が分析されます。さらに、大脳皮質の二次味覚野で、嗅覚や
触覚からの風味や食感などの情報と組み合わされます。この情報伝達の流れに
より、私たちが食べ物を食べたときに感じる食べ物のイメージが形成されます。

 また、扁桃体、視床下部にも味覚の情報は送られます。偏桃体では、食べて
いる物が好きか嫌いか、快・不快といった「情動」の情報が判断され、視床下
部では、食欲を司るホルモンが分泌されるなどの現象が起こります。また、海
馬では、味の記憶が形成されます。

 大脳皮質まで情報伝達を行わずに、延髄の孤束核で「反射的な反応」が起こ
る場合もあります。例えば、酸っぱい物・苦い物を食べたときは、顔をしかめ
る顔面表情変化、唾液や消化液の分泌などの現象がこの段階で起きたりします。

 つまり、味の基本的な選別と反射的な反応は、延髄を含む脳幹部分で生じる
ため、たとえ大脳に障害があったとしても起こるということが分かります。




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1.「味覚」のメカニズムか (2)「おいしさ」を感じる歯の役割 [健康]




 食べ物のおいしさは、舌や口の中で感じ取る味覚はもちろんのこと、歯に触
れたときの歯触りや食感といった感覚も重要であり、食べ物を味わう上では欠
かせない感覚の一つです。歯で物を噛んだときに、食べ物の硬さや歯触り、厚
みを感じることができるのは、センサーである歯根膜が歯の根の周りに存在し
ているからです。







 歯根膜とは、歯の根元を支える歯槽骨の間にある非常に薄いコラーゲン
でできた線維のことです。歯根膜は、歯槽骨に歯を固定する役割のほか、歯に
かかる圧力を吸収するクッションの役割をしています。そして、噛んだ物のさ
まざまな性状(硬い・軟らかい・どろどろ・ネバネバなど)を認識しています。





歯根膜が受けるさまざまな情報は、三叉神経を通じて中脳の三叉神経中脳路核
へ伝わり感覚をとらえます。歯根膜には、三叉神経に属する感覚神経が豊富に
存在しているため、食感や歯触りを非常に敏感にとらえることができます。上
下の歯の間に挟んだものは0.008~0.01㎜の厚さ(髪の毛の約15分の1)が
あれば感知することができるのです。





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1.「味覚」のメカニズム (1)「味覚」を感じる舌の役割 [健康]




 味覚のしくみを理解するために、味の刺激を受け取る舌の構造や味覚の伝わ
り方についてみていきましょう。








<舌の役割>
 舌は、食べ物を味わう、食べ物を唾液と混ぜ合わせて消化を助ける、食べ物
を飲み込むなどのほか、会話をする上でも重要な役割を担っています。どれも
大切な機能ですが、中でも大きな役割は味覚を感じるセンサーとしての働きで
す。これは、口に入れたものが体にとって有益か有害か、それを判断する第一
関門としての働きです。

 味覚には、甘味、うま味、酸味、塩味、苦味の5つの基本味があります。こ
のほかに、渋味や辛味などの刺激感のような味覚に相当する要素があります。
舌では、味覚以外にも食べ物の温かさ、冷たさ、舌触りなどをとらえて、口に
入った物質の性質や状態を総合的に調べる働きをしています。こうしたさまざ
まな情報を舌から得ることは、体にとって害のない食べ物を摂取するためにと
ても重要なのです。



<舌の構造>
 舌は、大きく舌苔と舌根に分けられます。舌苔の表面には、つぶつぶした舌
乳頭と呼ばれるものが無数に並んでいますが、この舌乳頭は数種類あり、その
うち有郭乳頭、葉状乳頭、茸状乳頭には味を感じる器官である「味蕾」が
存在しています。


●有郭乳頭
 舌の根元付近に10個前後V字に慣れんでいるのが有郭乳頭です。1個の有郭乳
頭には、200個以上の味蕾が存在しています。中央の盛り上がった円柱部の周囲
には溝をはさんで囲いがあり、城や町の外囲いを意味する「郭」のような形を
していることから有郭乳頭と呼ばれています。有郭乳頭の周囲にある溝に溶け
込んだわずかな物質も感知することができます。




●葉状乳頭
 ひだ状の形を持つ舌乳頭で、舌の縁の部分(側縁方向)に存在します。一つ
のひだ断面あたりに10数個の味蕾が集まっています。隣り合う葉状乳頭の間の
溝から味物質を洗い出し、新たな味を素早く感知できるような構造になってい
ます。


●茸状乳頭
 きのこのような形をしており、舌の上面(特に先端)に多く存在しています。
ひとつの乳頭あたり3~4個の味蕾が上面にあります。味蕾が上部にあるため、素
早く味物質をとらえることができると考えられています。




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4.脳における「補完能力」と「錯覚」 (1)見えないものが見える?脳の補完能力 [健康]




 網膜に結ばれた像の情報は、視神経を通じて、脳の後方にある視覚野へ送ら
れますが、視覚が生じるメカニズムは、必ずしも網膜の働きだけでは説明でき
ません。それを示す具体例が「網膜の充填」という現象です。

 視神経が束になり、眼球から出て行く円形の部分を「視神経乳頭」と呼びま
すが、視神経乳頭には視細胞が存在しないため、光を感じ取ることができませ
ん。そのため、視神経乳頭に対応する視野の一部は欠落を起こします。そこが
盲点です。しかし、片方の目の盲点は、もう片方の目の視野に含まれているた
め、両目で見ている場合、盲点に気付くことはありません。それどころか、片
目をつぶっていても視野に欠落は見当たらず、盲点であるはずの部分にも、し
っかりと周囲の色や模様が見えています。これが、盲点の充填です。脳の持つ
「補完能力」により補われているのです。ただし、ある一定の場所では盲点を
確認することが可能です。下記の方法で、盲点の存在を確認してみましょう。






▼盲点の位置の確認方法



 左目を隠し、右目だけで「+」を見ます。少しずつ且つゆっくりと、下記の
図との距離を近くしていきます。すると横の「●」が見えなくなる位置があり
ます。そこが右目の盲点です。次は図を反転させて同じ方法で行えば、左目で
も同様に盲点の位置を確認することができます。



  「盲点」の位置を探してみよう

 <右目用>
 

    +     ●






視覚野は、大脳皮質の後頭葉に存在しています。さら
に、第一次視覚野、第二次視覚野と分かれます。網膜からの光は、まず、第一
次視覚野へ届き、形や大きさなど、単純な特徴が抽出されると考えられていま
す。第一次視覚野で抽出された情報は、次に第二次視覚野へと送られ、さらに
高次の視覚野で処理が進み、物体の認知が行われます。

 このうち、補完能力を持つのは第一次視覚野です。盲点の充填では、視神経
乳頭の周囲の網膜から、信号が加えて送られ、視野を埋めていることが分かっ
ています。

 さらに、近年の研究により、第一次視覚野では、欠損した視覚像がまるで絵
を描くように補完され、物体の全体像が再構成されることも明らかになってい
ます。この現象は、観察者が事前に見ていた物体の形を反映し、補完が必要で
ないと判断される場合には生じません。事前に得ていた物体に対する知識によ
って、補完活動は変化するのです。

 普段目にする情景の中でも、山々や都会の立ち並ぶビルを見て、その物体が
山であり、ビルであると一つ一つ判断することができるのは、こうした補完活
動が脳で行われているためだといわれています。



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