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卵子と精子の“出会い”の力 [健康]

 私たちの生命の誕生は、1~4億個の精子がわずか1個の卵子を目座右レース
によって幕を開けます。精子が卵子にたどり着くことができれば、その精子は
卵子とともに新たな生命を育むことができるのです。
 生命の誕生追うために、まずは卵子と精子の構造からみてきましょう。





卵子と精子はどこでつくられる?~生殖器の構造~ 女性、男性の構造




<卵子と精子の構造>
●卵子の構造
 卵子は、胎児の成長に必要な栄養素を多く蓄える力に特化した細胞です。大
きさは、0.1~0.2㎜で人体最大の細胞です。中央には透明帯で包まれた卵黄と
核があり、顆粒膜細胞が放射状に取り巻いています。核には、母親の遺伝情報
が詰め込まれています。




●精子の構造
 精子は、運動能力に特化した細胞です。大きさは、0.05~0.07㎜で、頭部、
中間部、尾部の3つの部分に分けられます。頭部の先体には、卵子の顆粒膜細
胞と透明帯を溶かすための酵素が含まれていて、受精の際、精子はこの酵素を
使って卵子と融合します。核には、父親の遺伝情報が詰め込まれています。中
間部には、大量のミトコンドリアが、らせん状に巻き付いていて、精子が運動す
るためのエネルギーを供給しています。尾部は、鞭毛でできていて、ミトコン
ドリアからのエネルギーで運動し、力強い推進力を生み出します。

 では、卵子と精子は、どのようにして出会い、受精に至るのでしょうか。




<卵子と精子の出会いの力>
 卵子と精子の出会いの力には、「精子の推進力」と「卵子と精子の数」が関係
しています。



●精子の推進力
 卵子は、卵巣から卵管に向けて放出されます(排卵)。基本的に、排卵は月に
1度、左右1つずつある卵巣の一方で起こります。一方、精子は膣内に放出され
ます。精子は、卵子を求めて子宮と卵管という広大な空間を旅することになり
ます。
 陰茎から射出される精子の数は、1回の射精で1~4億個です。卵子との出会
いの場である卵管(卵管膨大部)に到達するまでには、いくつものハードルが
待ち構えています。
 精子が放出される膣内は酸性であるため、精子にとって生存しにくい環境で
す。さらに女性の体は、外部から入ってきた病原菌などと同様に精子を異物と
してとらえてしますため、精子は免疫細胞である白血球から攻撃を受けます。
 また、精子の中には推進力が弱く、その場で止まってしまうものや途中で力
尽き、卵子のもとへと到達できないものがいる中、長い旅路を終え、ようやく
卵子の待ち受ける卵管膨大部に到達できる精子は、結果として数百個に過ぎま
せん。そして、精子は一斉に卵子に群がり、先体から酵素を放出することで、
まず顆粒膜細胞のバリアを溶かし、次に最後の砦である透明帯のバリアを溶か
します。この過程でも多くの精子が力尽き、消え去っていきます。
 そして、精子の頭部が卵子の内部に接触した瞬間、精子の頭部だけが切り離
されて卵子の中に入り、受精が成立します。同時に、卵子の周囲には膜が張ら
れ、ほかの精子は侵入することができないように強力なバリアがつくられます。
 このように、推進力の優れた精子が、過酷なサバイバルレースをくぐり抜け
て、やっと1個の卵子と出会う(受精する)ことができるのです。



●卵子と精子の数
 卵子は、生まれる前の胎児のときに一生分の数がつくられます。受精後4ヵ
月ころになると、卵子の数はピークとなり、その数500~700万個です。しかし、
その後は自然に消滅していき、新生児として生まれるころにはすでに100~200
万個程度に減少しています。そして、思春期になり月経がはじまると、卵子は
毎月1個排卵されますが、排卵時以外にも毎日数十個のペースで消滅します。
 一方、精子は、年齢を重ねるにつれ、ホルモン活動が低下するため、造精能
力は落ちてしまいますが、胎児からはじまり生涯にわたってつくられ続けます。
 このように、卵子の数には限りがありますが、精子の数には限りがありませ
ん。そのため、卵子の数が減少すると、精子との出会いの確立が減ってしまい
ます。
 また、精子は、卵子の顆粒膜細胞と透明帯という卵子のバリアを突破するた
めに、射精時に一定の数が必要とされます。



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