「酸化」ってなに? [健康]
酸化による老化
老化と「酸化」には深い関係があるといわれています。ここからは、酸化に
ついて詳しくみていきましょう。
細胞分裂の限界!? テロメアとは?
「酸化」ってなに?
酸化とは、一体どんな現象を指すものでしょうか。例えば、りんごの褐変
(りんごを切って空気に触れさせると切り口が茶色に代わること)や金属のサ
ビなどが日常生活でよくみられる酸化反応です。このように酸化反応と聞くと、
酸素による化学反応のことが最も身近ですが、それだけではありません。実は、
「原子」や「分子(原子の結合体)」がもつ「電子」が奪われる化学反応もすべ
て酸化反応と呼ばれます。
私たちの体や身の回りにあらゆる物資を構成する最小単位は、原子です。
原資は原子核を中心に、その周りを電子が回っている構造をしています。通常、
電子は1つの軌道に2個ずつ対になっているときに安定しています。しかし、
何らかの要因で電子が1個奪われると、その物質は酸化されたことになります。
このように電子が1個しかなく、ペアを組めない電子(不対電子)を持つ原子
や分子を、科学用語で「フリーラジカル」といいます。フリーラジカルは、電
子を奪われて(酸化)生成されることもあれば、電子を受け取って生成される
こともあります。
フリーラジカルは不安定で反応性が高いので、ほかの原子や分子とすぐに反
応し、電子を奪って安定しようとします。電子を奪われ酸化された原子や分子
は、自分もフリーラジカルになり、ほかの分子を酸化させようとすることがあ
ります。こうした酸化反応は、ときに次々に連鎖して起こります。この酸化作
用がフリーラジカルの大きな特徴です。
老化と「酸化」には深い関係があるといわれています。ここからは、酸化に
ついて詳しくみていきましょう。
細胞分裂の限界!? テロメアとは?
「酸化」ってなに?
酸化とは、一体どんな現象を指すものでしょうか。例えば、りんごの褐変
(りんごを切って空気に触れさせると切り口が茶色に代わること)や金属のサ
ビなどが日常生活でよくみられる酸化反応です。このように酸化反応と聞くと、
酸素による化学反応のことが最も身近ですが、それだけではありません。実は、
「原子」や「分子(原子の結合体)」がもつ「電子」が奪われる化学反応もすべ
て酸化反応と呼ばれます。
私たちの体や身の回りにあらゆる物資を構成する最小単位は、原子です。
原資は原子核を中心に、その周りを電子が回っている構造をしています。通常、
電子は1つの軌道に2個ずつ対になっているときに安定しています。しかし、
何らかの要因で電子が1個奪われると、その物質は酸化されたことになります。
このように電子が1個しかなく、ペアを組めない電子(不対電子)を持つ原子
や分子を、科学用語で「フリーラジカル」といいます。フリーラジカルは、電
子を奪われて(酸化)生成されることもあれば、電子を受け取って生成される
こともあります。
フリーラジカルは不安定で反応性が高いので、ほかの原子や分子とすぐに反
応し、電子を奪って安定しようとします。電子を奪われ酸化された原子や分子
は、自分もフリーラジカルになり、ほかの分子を酸化させようとすることがあ
ります。こうした酸化反応は、ときに次々に連鎖して起こります。この酸化作
用がフリーラジカルの大きな特徴です。
3つの活性酸素 [健康]
3つの活性酸素
代表的な活性酸素には、「スーパーオキシドラジカル」「過酸化水素」「ヒドロ
キシラジカル」があります。これらの活性酸素は、いわばエネルギー代謝の副
産物として発生します。
「酸化」ってなに?
<第1の活性酸素:スーパーオキシドラジカル>
酸素が1つ電子を受け取り不安定な状態を「スーパーオキシドラジカル」と
いいます。体内では最初に生成される活性酸素です。不対電子を持つフリーラ
ジカルですが、反応性は比較的低いため、直接の障害因子にはなりにくいとい
われています。ただし、次に述べる過酸化水素という強力な活性酸素の生成源
につながるのが特徴です。
<第2の活性酸素:過酸化水素>
細胞内で発生したスーパーオキシドラジカルが電子を1つ受け取ると「過酸
化水素」へ変身します。これが第2の活性酸素です。不対電子を持たないので
フリーラジカルではありません。しかし、過酸化水素は反応性の高い活性酸素
である上、細胞膜を通過できるので、発生場所から離れた部位に達し、さまざ
まな物質に対して強力な酸化反応(例えば、りんごの褐変のような反応)を起
こしうる性質があります。
また、過酸化水素は「オキシドール」とも呼ばれ、消毒液に使われています。
過酸化水素が入った消毒液を傷口にかけると白い泡ができますが、これは過酸
化水素が傷口の細菌を酸化し、殺菌している表れです。活性酸素は悪いイメー
ジがありますが、このように活性酸素の酸化力を利用したものもあるのです。
<第3の活性酸素:ヒドロキシラジカル>
過酸化水素がさらに電子を1つ受け取ると、「ヒドロキシラジカル」という酸化
力が最も強い活性酸素になります。ヒドロキシラジカルは人体にとって最も
有害なフリーラジカルといわれ、その高い反応性から、生体内で発生すると脂
質やタンパク質、DNAなどさまざまな生体成分を攻撃し、やがて脳や臓器など
全身の機能を低下させていきます。
<ヒドロキシラジカルによる細胞への攻撃>
細胞膜は、不飽和脂肪酸という脂質が含まれていて、ヒドロキシラジカルな
どによって酸化されると、「過酸化脂質」と呼ばれる、生体にとって極めて有害
な物質に変わってしまいます。細胞膜は、細胞や小器官を仕切る壁としてのみ
ならず、生理活性物質として膜表面の受容体となっています。したがって、こ
の細胞膜が過酸化脂質になると、膜構造の破壊だけでなく、そこで働く受容体
などの機能もダメージを受けることになり、あらゆる細胞の老化につながって
いきます。
さらに、ヒドロキシラジカルは細胞膜の中にあるDNAを攻撃していきます。
DNAは、遺伝情報を持つ遺伝子の元になるものなので、ヒドロキシラジカルに
よって攻撃を受けると突然変異の遺伝子をつくり出してしまいます。この変異
した細胞の一種が、がん細胞です。ヒドロキシラジカルは、がん発生原因の1
つとして考えられています。
代表的な活性酸素には、「スーパーオキシドラジカル」「過酸化水素」「ヒドロ
キシラジカル」があります。これらの活性酸素は、いわばエネルギー代謝の副
産物として発生します。
「酸化」ってなに?
<第1の活性酸素:スーパーオキシドラジカル>
酸素が1つ電子を受け取り不安定な状態を「スーパーオキシドラジカル」と
いいます。体内では最初に生成される活性酸素です。不対電子を持つフリーラ
ジカルですが、反応性は比較的低いため、直接の障害因子にはなりにくいとい
われています。ただし、次に述べる過酸化水素という強力な活性酸素の生成源
につながるのが特徴です。
<第2の活性酸素:過酸化水素>
細胞内で発生したスーパーオキシドラジカルが電子を1つ受け取ると「過酸
化水素」へ変身します。これが第2の活性酸素です。不対電子を持たないので
フリーラジカルではありません。しかし、過酸化水素は反応性の高い活性酸素
である上、細胞膜を通過できるので、発生場所から離れた部位に達し、さまざ
まな物質に対して強力な酸化反応(例えば、りんごの褐変のような反応)を起
こしうる性質があります。
また、過酸化水素は「オキシドール」とも呼ばれ、消毒液に使われています。
過酸化水素が入った消毒液を傷口にかけると白い泡ができますが、これは過酸
化水素が傷口の細菌を酸化し、殺菌している表れです。活性酸素は悪いイメー
ジがありますが、このように活性酸素の酸化力を利用したものもあるのです。
<第3の活性酸素:ヒドロキシラジカル>
過酸化水素がさらに電子を1つ受け取ると、「ヒドロキシラジカル」という酸化
力が最も強い活性酸素になります。ヒドロキシラジカルは人体にとって最も
有害なフリーラジカルといわれ、その高い反応性から、生体内で発生すると脂
質やタンパク質、DNAなどさまざまな生体成分を攻撃し、やがて脳や臓器など
全身の機能を低下させていきます。
<ヒドロキシラジカルによる細胞への攻撃>
細胞膜は、不飽和脂肪酸という脂質が含まれていて、ヒドロキシラジカルな
どによって酸化されると、「過酸化脂質」と呼ばれる、生体にとって極めて有害
な物質に変わってしまいます。細胞膜は、細胞や小器官を仕切る壁としてのみ
ならず、生理活性物質として膜表面の受容体となっています。したがって、こ
の細胞膜が過酸化脂質になると、膜構造の破壊だけでなく、そこで働く受容体
などの機能もダメージを受けることになり、あらゆる細胞の老化につながって
いきます。
さらに、ヒドロキシラジカルは細胞膜の中にあるDNAを攻撃していきます。
DNAは、遺伝情報を持つ遺伝子の元になるものなので、ヒドロキシラジカルに
よって攻撃を受けると突然変異の遺伝子をつくり出してしまいます。この変異
した細胞の一種が、がん細胞です。ヒドロキシラジカルは、がん発生原因の1
つとして考えられています。